【年末年始】改めて振り返る「フォルクスワーゲン 排ガス不正問題」(2/2)

【年末年始】改めて振り返る「フォルクスワーゲン 排ガス不正問題」
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ディーゼル技術で世界をリードしていたはずのVWとボッシュが、なぜ

最新情報によると、問題のディーゼル車は世界で約「1100万台」に上る。

当初アメリカで問題となったのは48万台だが、欧州やアジアで市販されたディーゼル車にも違法なデバイスが使われていたらしい。欧州でも2009年頃から市販されたディーゼル車が問題となっているのだが、ここで疑問なのは日米欧の排ガス規制のうち、どこをターゲットに開発していたのかだ。欧州規制ユーロ5はアメリカよりも厳しくなく、多くのメーカーがクリアしていたが、VWだけが不正に手を染めた。

ここからは想像だが、すでにディフィート・デバイスを使うことが慢性化し、罪の意識が薄れていたのではないだろうか。

ディフィート・デバイスを使えば、触媒のコストを削減でき、燃費性能も犠牲にならない。燃費が良ければ、二酸化炭素(CO2)排出量も減らせる。当時の欧州ではCO2規制の方が社会的な関心事であった。

しかし、ディーゼルを手掛ける日本のエンジニアは「EGRを使えばNOx低減はそれほど難しくないはずだ」と首をかしげる。

制御プログラムを作っていたのはドイツのメガサプライヤーの「ボッシュ」だ。VWとボッシュはディーゼル技術で世界をリードしていると信じていただけに、なぜこのような問題が起きたのか、いまだに疑問が残る。

ボッシュは不正プログラムを量産車に使うことは違法だと通告したと述べているが、ボッシュの道義的な責任問題は避けられないだろう。

原因は“ディーゼル”そのものではない

VW 135キロワット/ 184馬力と2.0 TDIエンジン(EA 288)

気になるのはVW以外のディーゼル開発メーカーは大丈夫かという点だが、VWほど大胆に法令違反するメーカーはないと信じたい。

この問題の根っこにはNOxとCO2と走り、そしてコストをバランスさせる難しさがあった。ゴルフはCセグメントのクルマで、コストも厳しく管理されていただろう。その反対に、高度な触媒システムやツインターボなどにコストをかけて、名実共に“クリーンディーゼル”を実現できている事例もある。

たとえば、アウディが発表した電気モーターチャージャーを使うディーゼル車は高性能を誇り、今回の問題が発覚する前までは先進的なディーゼルだとして大きな期待が寄せられていた。

そのアウディが開発した3リッターディーゼルも、最近になってアメリカでは不正だと批判されているが、こちらはVW製2リッターディーゼルとは事情が異なり、悪質な不正ではなかったようだ。

また、今回の問題により多くのユーザーが気にするようになったのは、CO2もNOxも、規制値と実路での排出量の乖離が大きいという点だ。これにはどの国も頭を抱えており、各国政府はRDE(リアルドライブ・エミッション)の測定を検討している。

日本で市販されているディーゼル車は、カタログ値と実績値の間に多少の乖離はあっても、不正プログラムの使用はないと考えている。

なお、日本ではディフィート・デバイスについて、自動車工業会の自主規制、あるいは東京都の都条例で使用しないように告示されているが、法律で禁止していないことは書き留めておきたい。

一連の騒動はディーゼルの問題ではない。違法性を知りながら、不正なプログラムを使用したことが問題なのだ。

その背景には2000年以降に生じている急速なグローバル化があるのではないだろうか。トヨタもGMもホンダも、大規模リコールが2000年代の10年間に起きているからだ。

法令遵守よりも世界一をかけた熾烈な販売台数の競争が原因なのかもしれない。

VWにはウミを流し、一にも早くゲンキなワーゲンに戻って欲しい。その時はVWのディーゼル車を堂々と買いたいと思うのだ。

会社のためではなく、社会と人々のためにイイクルマを作ってもらいたい。

[Text:清水和夫]

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清水 和夫
筆者清水 和夫

1954年生まれ。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして、自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。近年注目の集まる次世代自動車には独自の視点を展開し自動車国際産業論に精通する。一方、スポーツカーや安全運転のインストラクター業もこなす異色な活動を行っている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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