フォルクスワーゲン ジェッタ 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
フォルクスワーゲン ジェッタ 試乗レポート
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TSIエンジン搭載の新しいJetta登場

ゴルフの基本プラットホームや基本コンポーネンツをベースに、4ドアセダンのボディを与えられているのがジェッタ。

このジェッタというクルマ、初代モデルがデビューしたときにゴルフとは別のクルマということでジェッタの名前が与えられたが、ハッチバックボディのゴルフのイメージが強すぎたためか日本ではあまり浸透せず、2代目モデルはヴェントに名前を変え、さらに3代目モデルではボーラを名乗ったが、現行モデルでは改めてジェッタを名乗るようになった。

アメリカなどでは一貫してジェッタのままで販売されており、それに習ったという。現行モデルのジェッタは2006年1月のデビュー。合理的なパッケージングのゴルフをベースに、リヤに独立したトランクを持つオーソドックスな4ドアセダンとして高い実用性を備えたクルマに仕上げられていた。

当初は2.0Lの直噴と直噴ターボを搭載していたが、2007年10月の改良で2.0Lの自然吸気エンジンを1.4Lのインタークーラー付きターボ+スーパーチャージャー仕様のTSIエンジンに変更した。従来の2.0Lの直噴ターボも2.0TSIスポーツラインとしてし継続されているが、1.4Lエンジンを搭載した新設定のTSIコンフォートラインが今後の主力モデルになると見られている。VWはヨーロッパではディーゼルエンジンの比率が高いが、ガソリンエンジンはTSIを主力としていく計画だ。

デザインに若干の改良点を施し、GOLFファミリーを強調

2007年10月の変更は1.4LのTSIエンジンを搭載したのが大きなポイントだが、このモデルについては外観デザインについてもわずかながら変更が加えられている。従来の2.0では黒だった前後のアンダースポイラーがボディ同色に変更されたのがそれ。直噴ターボを搭載したモデルとの間の違いがなくなった。

フロント回りのデザインは大きな盾型のワッペングリルが採用される点などはゴルフと同じ。ゴルフファミリーの一員であることが分かるデザインが採用されている。リヤの丸型テールランプも共通のイメージである。

異なるのは伸び伸びとした感じのセダンボディを持つことで、リヤドアから後部のトランクにかけての部分はジェッタならではのセダンデザインとなる。インテリア回りのデザインはゴルフと共通の基本造形だが、それ以上にVWの各モデルに共通する機能性を前面に押し出したデザインが採用されるのが注目されるところ。

操作系の確かな節度感と合わせて、VWブランド車の質実剛健さを感じさせる部分だ。室内空間は余裕十分。後席に座ると足元には余裕で足が組めるくらいの空間があり、ヘッドクリアランスも余裕十分。上級車クラスに匹敵する室内空間といえる。

定評のTSIエンジンで気持ち良いパワーフィールを楽しむ

1.4LのTSIエンジンはすでにゴルフ、ゴルフトゥーラン、ゴルフヴァリアントなどに搭載されて定評を得ているもの。わずか1.4Lの排気量ながら、125kW/240N・mという2.4Lエンジン並みの動力性能を発揮する。

従来の2.0Lの自然吸気直噴エンジンに比べると、パワーは13%、トルクは20%の向上を果たしながら、10・15モード燃費は12.0km/Lから14.0km/Lへと17%も向上している。しかも排気量が小さくなった分だけ毎年課税される自動車税も安くなるのだから、いろいろな面でメリットのあるエンジンといえる。

ターボだけだと排気ガスの流量が増すのを待たなければならず、どうしてもタイムラグが生じるが、エンジンのクランクシャフトから動力を取るスーパーチャージャーを装着することで、低速域から力強いレスポンスを感じさせるのがTSIエンジンの良いところ。それもわずか1500回転の低回転域で最大トルクに達しているのだから、スムーズさ力強さは相当なもの。

さらにアクセルを踏み込んでいくとターボによる過給が始まって、気持ち良くパワーが伸びていく。このTSIエンジンは最新のトランスミッションであるDSGと組み合わされており、2ペダルでマニュアル車感覚の走りが楽しめるのも良いところ。微低速域ではわずかにギクシャク感を感じるシーンもあるが、全体に軽快な走りが楽しめる。

シャシー性能の高さも特筆モノで、裏磐梯のゴールドラインやレークラインなどの有料道路のワインディングを確かなフットワークで駆け抜けていくことができた。

300万円を切るリーズナブル価格が魅力

ターボなどの過給器付きのエンジンは、パワーは得られるものの燃費が悪くなるのが一般的。エンジン内部が熱くなり過ぎるために燃料を余分に噴射してガソリンで内部を冷やそうとするからだ。

その点、このTSIエンジンは直噴エンジンがベースとされているため、そもそも燃料を直接気筒内に噴射しているため、温度の上昇を抑えて圧縮比を高めることができる。これがTSIエンジンが燃費の良い理由である。

TSIエンジンには、自動車部品としては単価の高いターボとスーパーチャージャーを装着し、なおかつDSGを採用するなど、コスト的には高いものにつくような仕様が用意されているが、それにもかかわらず300万円を切るリーズナブル価格が設定されているのは魅力。

この価格設定は、最近の円安/ユーロ高なども含めて考えると、相当に戦略的なものといえるが、ユーザーにとっては十分に魅力的なもので選択のターゲットになる。すでにTSIエンジンを搭載したゴルフやトゥーラン、ヴァリアントなどでも、TSIエンジンの搭載車が良く売れているというが、それもうなづける。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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