フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗レポート/飯田裕子(3/3)

  • 筆者: 飯田 裕子
  • カメラマン:オートックワン編集部 撮影協力:富津ブルストルヒル ゴルフ&レジデンス
フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗レポート/飯田裕子
フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗レポート/飯田裕子  TOPページ画像 Volkswagen Passat Alltrack(フォルクスワーゲン パサート オールトラック) フォルクスワーゲン パサート オールトラック 外観(前) フォルクスワーゲン パサート オールトラック 外観(後) フォルクスワーゲン パサート オールトラック フロント外観 フォルクスワーゲン パサート オールトラック エクステリア・フロント フォルクスワーゲン パサート オールトラック サイドビュー フォルクスワーゲン パサート オールトラック エクステリア・リア フォルクスワーゲン パサート オールトラック リア外観 フォルクスワーゲン パサート オールトラック リアビュー フォルクスワーゲン パサート オールトラックに乗って、どこ行こう! 画像ギャラリーはこちら

ゴルフGTIと同じ高性能エンジンを搭載

フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗6
フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗1フォルクスワーゲン パサート オールトラック 直列4気筒 直噴 DOHC インタークーラー付きターボ ガソリン「TSI」エンジン

パサート セダン/ヴァリアントに1.4リッター「TSI」エンジンが搭載されているのに対し、パサートオールトラックには現行ゴルフGTIと同じ211ps/280Nmの高性能を持つインタークーラーターボ付の2.0TSIを搭載している。

パサートオールトラックが2.0TSIエンジンを搭載すると聞いて、やはり4MOTION=4WDシステムなどによる車重増加をカバーするものかと想像したのだが、例えば1.4リッターTSIエンジンを搭載し、何の問題もなく扱える大型ミニバン「シャラン」の車重のほうが100kg以上重いことを考えると、ちょっと不思議なところ。

からくりを明かすと、実はそもそも本国にも1.8TSI+6MTと2.0TSI+6速DSGトランスミッションの設定しかなく、日本市場導入ではATのDSGを優先させた結果、2.0TSIエンジンになったのだとか。

その結果、JC08モード燃費は11.6km/L。高性能なスペックを考えれば十分に優秀だが、最近のVWモデルにしては少し物足りないカモ?

しかしその分走りの性能には十分に満足させられるのだから、そこはトレードオフと言うか、許容範囲の内だろう。

安心で愉しい、頼もしい走りに満足

フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗4フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗3

さあ、気になるパサートオールトラックの走行性能を確かめに、さっそく試乗へ行ってみよう。試乗コースは適度な山道と、交通量の少ない郊外路がメイン。ちょっとだけだが高速道路にも乗ってみた。

走行フィールは、車高が3センチ上がっていることを忘れる安定感と剛性感が印象的。

いかにもVW車らしくカッチリとはしているが、乗り心地も硬過ぎず快適だ。2.0TSIエンジンと6速DSGトランスミッションの制御が効果的にバランスされ、排気量以上の頼もしさも実感できる。この点が2.0TSIエンジンを搭載するオールトラックと、「これでも十分」な1.4TSIを積むパサートヴァリアントとの違いを感じさせてくれる点だ。

例えば、発進時に控えめにアクセルを踏めば、ターボ付とは思えぬ穏やかかつ滑らかな加速感を味わうことができ、グッと強く踏めばトルクの太い加速が1700rpmから発生するという具合。平坦な一般道なら、せいぜいアクセルを1/4か1/3も踏めば十分だろう。

登坂路のコーナーでのアクセル操作に対しては、安定的かつ十分なトルクが頼もしい。もりもりと力強さが常にスタンバイしていてくれる頼もしさがパサートオールトラックの2.0TSIエンジンには感じられるのだ。この頼もしさ、山道のみならず、例えば長距離ドライブなどでも安心感や疲労度の軽減にもなる。

ちなみに下り坂ではブレーキエネルギー回生も働き易くなるため、エコ目線で嬉しい。

コーナリングでは、ボディ&シャシー剛性に恵まれたボディの素性の良さに加え、電子制御式のディファレンシャルロック「XDS」のサポートもときに介入しているようで、ワインディングの下りでも、まるで一筆書きしたライン取りのように、スラスラ、スイスイとスムーズな走行が可能だった。電子デバイスが違和感なく作動している証拠で、これもドライブでのストレスを軽減する要素のひとつだろう。

真面目で上質なパサートに更なる魅力をプラスした、選び甲斐のある1台

フォルクスワーゲン パサート オールトラックをテストドライブさせる飯田裕子さん

ちなみに今回の試乗コースでは「OFF ROADスイッチ」を使用する悪路走行のシチュエーションはなかったが、斜度10°以上の下り坂で車速を自動制御する「ヒルディセントアシスト」やDSGの変速ポイントを高める「ギヤモードセレクション」、ホイール空転を抑える「EDS」制御、悪路での制動距離を縮める「ABSプラス」、走行状況に応じスロットル調整をするオフロード向けのアクセル特性変更の5つが、時速30km/h以下で起動する。次はぜひラフロードでのドライブも試してみたい!

パサートオールトラックには、これ以外にもさらに安全かつ快適なドライブをサポートする先進技術も標準装備されている。

自動的に加減速を行いながら車間調整を行う「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」や、30km/h以下では完全停止まで行う低速域追突回避・軽減ブレーキシステムの「Front Assist(プリクラッシュブレーキシステム)」、「パークディスタンスコントロール」や「オプティカルパーキングシステム」、ドライバー疲労検知システム「Fatigue Detection System」など盛りだくさんだ。そしてそれらを表示する液晶のカラーインジケーターも、新世代のVW車らしい新しさを感じさせてくれた。

このように、パサートシリーズの最高峰プレミアムモデル「パサートオールトラック」は、ミドルサイズのゆったり感と実用性、そして上質さがたっぷり味わえるモデルだった。

見た目は最もアクティブながら、街中での乗り味は大人っぽい上質さがある。またパサートのラインナップ中、最も充実した装備が標準で与えられており、上級モデルらしさも一層濃い。パサートシリーズに共通する、真面目で上質なセダン/ワゴンの高い実用性や快適さを求めつつ、こだわりや一捻りを余計にプラスしたいなら、パサートオールトラックは実に選び甲斐のある一台になるだろう。

フォルクスワーゲン パサート オールトラック 「OFFROAD」スイッチボタンはトランスミッションの隣りフォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗5フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗9フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗8フォルクスワーゲン パサート オールトラック 試乗2

VW パサート オールトラック 主要諸元

フォルクスワーゲン パサート オールトラック 外観(後)

全長x全幅x全高:4785x1820x1560mm/ホイールベース:2710mm/最小回転半径:5.3m/車両重量:1670kg/駆動方式:フルタイム4輪駆動システム「4MOTION」(センターデフ:ハルデックスカップリング方式)/エンジン種類:直列4気筒 直噴 DOHC インタークーラー付きターボ ガソリン「TSI」エンジン/総排気量:1984cc/トランスミッション:湿式6速DSGトランスミッション/最高出力:211ps(155kW)/5300-6200rpm/最大トルク:28.6kg-m(280N・m)/1700-5200rpm/燃費:11.6km/L(JC08モード燃費)/タイヤ:225/45R18モビリティタイヤ/乗車定員:5名/全国希望小売価格:494.0万円[消費税込み]

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飯田 裕子
筆者飯田 裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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