フォルクスワーゲン ゴルフ 7速DSG搭載モデル 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:フォルクスワーゲン グループ ジャパン
DSGにより燃費効率が大幅向上
ターボチャージャーを含むスーパーチャージング(過給)のメカニズムを「燃費向上のための切り札」とする考え方は、日本ではまだ一般的とは言い難い。実際、日本の乗用車ラインナップを見る限り、法規的な排気量の制約を克服するための“裏技”として同種のメカを用いる軽自動車を除けば、ランエボしかり、インプレッサしかり、そしてGT-Rしかりと、いずれもまずはハイパワーを得るための手段として用いられている。
しかし、欧米ではそうした使い方とはまた別の次元で、過給器を「エコのためのアイテム」として採用する動きが目立ち始めている。一瞬の加速シーンを別にすれば、クルージング時を中心にエンジンに要求される出力は実はごくわずか。それならば、排気量を縮小する事で通常時の燃費を大きく向上させた上で“一瞬の加速”に求められる大きな出力は、その必要となるタイミングだけ過給器を用いて増幅する。
これが、昨今の“ダウンサイズ・コンセプト”と呼ばれる燃費向上の手法だ。
世界初の量産型7速DSG搭載車発進
その手法によって、効率の高さを追い求めた1.4Lのターボ付き直噴122psエンジンに新開発の7速DSGを組み合わせた最新の“エコ・ゴルフ”が、ヨーロッパの道を走り始めた。
従来の6速DSGに対してプラス1速とする事で、ギア比のレンジをより広げたのに加え、この新開発トランスミッションでの注目に値するエコ性能向上策は伝達効率そのもののアップにも取り組んだ。そもそも、MTをベースとした構造のDSGは、それゆえトルコンATを凌ぐ伝達効率をアピール。
ところが、これまでの6速DSGは、このタイプのトランスミッションには、不可欠の2組のクラッチの冷却にオイルを用いていたため、その分のロスがどうしても発生してしまっていたのだ。
そんな湿式クラッチ方式の6速DSGに対し、今度の7速DSGでは乾式クラッチを採用して、油圧発生のためのロスやフリクションを低減。比べればクラッチ冷却能力は湿式タイプにかなわないものの、そこは組み合わせるエンジンの出力に制約を設ける事で、いよいよ実用化に成功したのがこの7速DSGというわけなのだ。
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