フォルクスワーゲン パサートヴァリアント TSIコンフォートライン 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
フォルクスワーゲン パサートヴァリアント TSIコンフォートライン 試乗レポート
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ついにTSIエンジン搭載のパサート誕生

フロントスタイリングリアスタイリング

VWの上級セダンであるパサートに、新エンジンを搭載したTSIコンフォートラインが設定された。VWはこれまでゴルフシリーズにTSIと呼ばれる、新エンジンシリーズを搭載してきたが、ついにパサートにもそのラインナップを追加して発売する。

ゴルフに最初に搭載されたTSIエンジンは、1.4Lという小排気量の直噴エンジンに、スーパーチャージャーとターボチャージャーを装着した、ツインチャージャータイプのもので、これがゴルフトゥーランや、ゴルフバリアントにも搭載されてきたが、今回パサートに搭載されたのは1.8Lの直噴エンジンに、インタークーラー付きターボだけを装着したタイプ。従ってスーパーチャージャーは装着されていない。

VWでは、従来T-FSIと呼んでいた2.0Lの直噴エンジン+ターボ仕様のエンジンも、TSIと呼ぶようになっていて、TSIというのは直噴+ターボを意味する言葉とされつつある。

いずれにしてもパサート2.0TSIコンフォートラインは、自然吸気の2.0Lエンジンを搭載したパサート2.0に代わるもので、セダンとヴァリアントの両方に設定されている。VWでは主力モデルの実用エンジンは、基本的にTSIタイプのエンジンでまかなう方針のようだ。従来の直噴エンジンの展開でも一歩先を行くイメージのあったVWだが、TSIエンジンの搭載でさらに先に進む形なった。

特化した実用性デザインは健在

サイドビュー
フロントシートインパネ

今回は、搭載エンジンの変更がメインなので、外観デザインは基本的に変更を受けていない。あえていえば、ヴァリアントのルーフレールが、上級グレードと同じクロームメッキタイプに変わったのが変更点だ。

エンジンの変更とは関係ないが、上級セダンのパサートはかなりボディが大きい。VWに限らず最近のヨーロッパ車は、どんどん大きくなる傾向にあるが、パサートもその例に漏れず、全幅が1820mmに達するまで大きくなった。これは日本の道路交通環境を考えると、必ずしも歓迎できるものではなく、これくらいのサイズを上限として考えて欲しいと思う。

ただ、ボディの大きさは、室内空間の広さにつながるもので、パサートの後席に座ると本当に広さを実感できる。ゆったりと足を組める広さがあるのだ。もちろんトランク容量もたっぷり確保されていて、セダン/ワゴンとしての実用性を考えると、パサートはとても良いクルマである。インテリア回りのデザインはシンプルなものながら機能性に優れている。過剰なデザインを排して、いかにもVWらしい質実剛健さを表現したものとされている。

新開発の1.8L TSIエンジンの乗り味とは

エンジンタイヤ&アルミホイール

ゴルフトゥーランには、同じ1.4Lの直噴+ツインチャージャーながらチューニングの違いによって、103kW(140ps)仕様と125kW(170ps)仕様の、2機種のTSIエンジンが搭載されていた。今回のパサート用のTSIエンジンは、エンジンの排気量を1.8Lに拡大した上で、インタークーラー付きターボを装着している。これによって118kW(160ps)/250N・mの、パワー&トルクを発生している。パワーの数値を見ると1.4LのふたつのTSIエンジンの中間的なものだが、トルクは2.5Lエンジン並みの実力を発揮する。従来の2.0Lの自然吸気直噴エンジンに比べると、パワーで10ps、トルクでは50N・mの向上を実現している。パサートのボディに見合った設定となるのが、この1.8LのTSIエンジンなのだろう。

実際に走らせた印象も、低速域からトルクフルな実力を感じさせ、余裕の走りが可能。ターボ付きの割にはアクセルワークに対するレスポンスも悪くない。ただ、アクセルを踏み込んだときの元気良さより、日常ユースでの余裕の大きさが、大きな魅力となるエンジンだ。ティプトロニックタイプの電子制御6速ATとの組み合わせも上々である。

足回りはしっかりした感じの乗り味は相変わらず。硬めの乗り味ながらゴツゴツした感じではなく、乗り心地も決して悪くない。日本車ではなかなか味わえない乗り味だ。

今後もTSIファミリーの躍進に目が離せない

フロントグリルテールランプ

ゴルフ系のモデルでも、TSIエンジンの搭載車は相当に割安感のある価格が設定されていたが、今回のパサートもその例に漏れない。動力性能が大きく向上するなど、魅力アップが図られたにもかかわらず、価格アップはセダン/ヴァリアントとも、従来のモデルに比べて3万円高の、329万円/345万円に抑えられている。ゴルフでもそうだったように、パサートも今後はTSIエンジンの搭載車を中心に売れていくことになると思う。

今回のTSIコンフォートラインの搭載に合わせ、従来のマルチメディアステーションに代わって、VW本社が開発したHDDナビゲーションシステムRNS 510(オプション)が発売された。従来は日本でオーディオメーカーの汎用品に、少し手を加えてVWの純正品としていたが、これだとスイッチやその表示文字が、小さくて見にくいなどの不都合な点があった。

今回は自動車メーカーの基準に合わせた開発されたこともあって、表示やスイッチが大きくて見やすいものになり、操作性は格段に向上している。価格も29万4000円と比較的抑えた設定になっているので、ユーザーとしては大歓迎である。外国車を買うときには、カーナビが大きなネックになることがしばしばあるが、VWでは今回のパサートからそれが解消されることになる。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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