フォルクスワーゲン ゴルフR試乗レポート/岡本幸一郎(2/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正・オートックワン編集部
4WDならではのスタートダッシュは圧巻
最近では2リッター級の直噴ターボエンジンを積む、そこそこ高性能を謳うクルマに乗っても、どれもけっこう速いので、それほど驚くこともなくなった。ところがゴルフRの速さは、そんな筆者にとってもなかなかインパクトのあるものだった。
下からグッと立ち上がる太いトルクと、トップエンドまで一気に吹け上がる、その瞬発力と力強い加速フィールには圧倒されてしまった。
ドライバーに積極的に聴かせて楽しんでもらおうという意図を感じさせる、GTIよりも野太く音量の大きいエキソーズトサウンドも印象深い。
そのみなぎるパワーをあますところなく伝える駆動系も秀逸だ。歯切れのよいシフトチェンジはDSGの醍醐味。さらに、最新世代のハルデックス製の電子制御4WDシステムが、踏み込んだ瞬間にまったく遅れなくリアに駆動力を伝達してくれて、猛然と加速体勢に入る。前輪駆動のGTIでは、こうはいかない。電子デバイスが上手く絞り込んでスリップを抑えるとはいえ、その分どうしても蹴り出す力は小さくなる。
シャシー性能もハイレベル、横揺れが極めて小さい
とくに停止状態からの発進が違う。前輪駆動ではとうてい不可能なスタートダッシュこそ、もっともGTIとゴルフRの大きな差を感じる部分なのだ。4WDのゴルフRだから踏み込んだ瞬間に怒涛の速さを味わえるのであり、実際に0-100km/h加速は4.9秒と、5秒を切っているというから大したものだ。
シャシー性能も驚くほどハイレベルだ。第2世代に進化した電子制御サス「DCC」は、まるで吸い付くように路面を捉える。乗り心地が良いとか悪いとか、そういう次元の感触ではない。加えて、横方向の揺れが極めて小さく、揺り返しをほとんど感じないくらい姿勢がピタッと決まるところにも感心させられる。
プログレッシブステアリングにより、ロック・トゥ・ロックは2.1回転となっているが、このクイックなステアリングに車体が応答遅れなくついてくるシャープな操縦性も素晴らしい仕上がりだ。
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