フォルクスワーゲン クロストゥーラン 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)

フォルクスワーゲン クロストゥーラン 試乗レポート/渡辺陽一郎
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クロストゥーランはゴルフトゥーランのSUVというよりも「スポーティ仕様」

フォルクスワーゲン クロストゥーラン

ならば、17インチタイヤを装着したメリットは何かといえば、走行安定性の向上だ。曲がりくねった峠道を積極的に走っても外側の前輪が踏ん張り、旋回軌跡を拡大させにくい。

危険回避を想定して、下り坂のコーナーでアクセルを閉じたり、ブレーキングを行っても後輪の横滑りを誘発しにくい。17インチタイヤの銘柄がダンロップSPスポーツ01になることも、乗り心地の硬さと引き替えに走行安定性を高めた要因だ。

つまりクロストゥーランは、ゴルフトゥーランのSUV仕様というより、スポーティモデルに位置付けられる。仮にSUV仕様とするなら、サスペンションをもっと柔軟に伸縮させ、操舵に対する反応も穏やかにすべき。その方がSUVのイメージにマッチするだろう。

また、日本におけるゴルフトゥーランの発売が2004年という設計年次も、運転感覚に影響した。6代目ゴルフに比べると操舵に対する反応が正確とはいえず、前述の乗り心地を含めて古さを感じてしまう。

フォルクスワーゲン ゴルフ7フォルクスワーゲン ゴルフ7

特に2013年の中盤から日本でも販売される7代目ゴルフは「MQB」と呼ばれるまったく新しいプラットフォームを採用する。

小さなポロからLサイズセダンのパサートまで、今後のVW車はひとつのプラットフォームで開発される。きわめて画期的な取り組みだ。ペダルから前輪の中心点までの位置は、基本的に全車共通。エンジンやメカニズムの位置決めだけを守れば、ホイールベース、オーバーハング(車輪からボディが前後に張り出した部分)、全幅の伸縮まで自由自在になる。シュコダやセアトといったブランドを含め、膨大な車種と台数の間で共通化が図られる。

となれば大幅なコストダウンが可能になり、開発と生産のコストをボディ剛性の向上、ショックアブソーバーの上質化などに振り分けられるだろう。今後のVW車は、質感や装備レベルが従来以上に向上しそうだ。

以上の事情を踏まえると、クロストゥーランにはさまざまな点で古さを感じるが、次期型の投入次期はまだ分からない。ゴルフのような歴史のある定番車種ではないから、いかなるクルマに発展するかも不明。試乗して納得できたなら、現行型を選ぶ価値はある。

購入時には、乗り心地のほか、2/3列目のシートもチェックしたい。ゴルフトゥーランも基本的には同じだが、2列目は前述のように座面の柔軟性が乏しく、座面の角度も水平に近いから腰の収まり方がいま一歩。座面が3分割されるので3人掛けをする時には都合が良いが、2人で座ると中央にムダな空間が生じて妙に窮屈に感じる。

フォルクスワーゲン クロストゥーランフォルクスワーゲン クロストゥーラン

頭上や足元のスペースは広い。3列目はシートが小さく、床と座面の間隔も不足するからかなり窮屈。日本のミニバンにも当てはまる話だが、全高が1700mmを下まわる車種の3列目は補助席に近い。畳んで荷物を積む使い方が基本と考えたい。

クロストゥーランの車両価格は348万円。やや高めに感じるが、339万円のゴルフトゥーランハイラインに比べると割安だ。

アルカンターラのシート生地はファブリックに変わるが、外装パーツや足まわりが専用タイプに変更され、カーナビ&リアビューカメラも標準装着される。ゴルフトゥーランハイラインでは、カーナビ&リアビューカメラは25.2万円でオプション設定。車両価格が9万円増えても、装備の違いを考慮すればクロストゥーランが買い得だ。

「SUVとは、クロスオーバーとは、一体何なのだ?」という疑問からスタートした今回の試乗だが、クロストゥーランの結論をいえば、高速道路や峠道を使った長距離移動向けのモデル。

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街中での乗り心地は不満だが、長距離を走る時には、この足まわりが安心感を高める。標準装着されるカーナビも、遠方に出かける時には必須の装備だろう。こういった特徴を表現する手段として、SUV、クロスオーバー風の外観を用いた。

ほかの車種も同様で、このタイプの外観は都合良く使われている。ちなみにオジサン世代である私にとっての「クロスオーバー」は、「フュージョン」という言葉が定着する前に用いられた音楽のジャンル。サックスやトランペットなど、編成の小さなジャズのコンボスタイルを用いながら、ロック調のサウンドを聴かせたりしていた。

要は何でもアリ。型にハマった法則性はなく、表現に困ったら「クロスオーバー」だ。クルマはジャンルを前提に開発される商品ではないから、それで良いと思う。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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