トヨタ 新型マークX 新旧比較(3/3)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:原田淳/茂呂幸正
3.5リッターは重量増をはるかに上回る動力性能を見せる
メカニズム上の大きな違いは、3リッターエンジンが3.5リッターエンジンに変更されたこと。
これは単なる排気量アップではなく、直噴とポート噴射を併用する独特の燃料噴射方式を採用することなどにより、高出力を実現したもの。すでにISやGS、クラウンアスリートなどに搭載され、定評を得ているエンジンだ。
この2GR-FSE型エンジンが発生する234kW/380N・mのパワー&トルクは圧倒的なもので、豪快な加速フィールを実現する。このエンジンを搭載することで重量がやや重くなるが、わずかな重量増をはるかに上回る動力性能の向上があるため、走りは格段に向上している。
ただ、マークXで売れ筋の中心となるのは、2.5リッターエンジン搭載車だ。
4GR-FSE型の2.5リッターエンジンは、初代モデルに比べ動力性能がややダウンしている。158kW/260N・mだった値が、149kW/243N・mとなっている。
これは、レギュラーガソリン仕様にしたことが大きな理由。燃費の向上と合わせ、ユーザーの維持費低減につながっている。実際に走らせた印象も、2.5リッターエンジンで十分という印象で、タウンユースから高速クルージングまで、特に不満を感じるシーンはなかった。実用性能を重視したエンジンといえるだろう。
初代から新型になり、足回りの熟成も進められた。同じ条件で両方のモデルに試乗していないので明確に確認できたわけではないが、新型のほうが乗り心地や静粛性も向上していると思われる。
グレード(タイヤ)によってはロードノイズが大きめに感じられるシーンもあったが、全体としてはマークXらしい快適性が備えられているといって良いと思う。
新型マークXは「リラックスセレクション」がお得だ
最後に、マークXでは買うべきグレードが完全に絞られている。
スタンダードタイプの「250G リラックスセレクション」か、スポーツタイプの「250G Sパッケージ・リラックスセレクション」のいずれかだ。
250Gまたは250G Sパッケージのいずれもが1,510kgという車両重量で、これに助手席パワーシートが追加されるリラックスセレクションを選ぶと、車両重量が1,520kgに増加する。
このため、燃費そのものは13.0km/Lから12.4km/Lへとやや悪化するのだが、平成22年燃費基準の線引きがこの1,520kgのところに設けられていて、燃費が悪くなるのに燃費基準に対する達成率が良くなる。
この結果、250Gまたは250G Sパッケージでは受けられなかったエコカー減税やエコカー購入補助金が、リラックスセレクションなら受けられる。
翌年度の自動車税が安くなる分も合わせると、合計で10万円を超えるメリットが受けられるのだ。
リラックスセレクションにすることで高くなる分を補って余りある税制上のメリットだ。初代マークXでは、エコカー減税の対象車がなかったので、それが設定されたのは2代目モデルの大きな相違点といえる。
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