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自動車評論家コラム 2017/3/30 19:01

ユーザーから見た自動車メーカーの通信簿/トヨタ編

ユーザーから見た自動車メーカーの通信簿/トヨタ編
トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男氏

世界有数の自動車メーカーであるトヨタ。

トヨタの2016年における世界販売台数は、ダイハツと日野を含んだグループ全体で1,017万5,000台であった。2016年はフォルクスワーゲングループが1,031万2,400台でトップに立ったためトヨタは2位となったが、2012~2015年の4年間は首位であり、世界で最大級の販売規模を誇る自動車メーカーであることは間違いない。

そんなトヨタは、日本国内においてももちろんトップメーカーとしての役割を果たしている。

2016年におけるトヨタ(レクサスを含む)の国内販売台数は158万台で、2位のホンダ(70万7,000台)に2倍以上もの差を付けた。国内のシェアは軽自動車を含めて32%、小型/普通車に限れば48%に達する。小型/普通車のシェアが極端に多いのは、軽自動車は傘下のダイハツに任せているためだ。今は一部の店舗がダイハツ製OEM軽自動車を扱うが、トヨタの主力は小型/普通車になる。

車種バリエーションはコンパクトカーからLサイズのセダンやSUVまで豊富に用意されており、軽自動車を除くニーズの大半をトヨタ車でカバーできる。

商品編

トヨタ ランドクルーザー70

・商品の充実度は日本の市場に合っているか

前述の通り、トヨタでは1リッターエンジンを搭載するコンパクトカーのパッソから4.6リッターV型8気筒を積んだオフロードSUVのランドクルーザーまで、豊富な車種が用意されている。

さらに2005年から上級ブランドのレクサスも国内で展開され、比較的コンパクトなハッチバックのCT、ミドルサイズセダンのIS、LサイズセダンのLSやクーペのLCなど、数多くの選択肢を設けた。

[ 評価:優 ]

トヨタ C-HRトヨタ 次期カムリ

・新型車のラインナップと今後の動向はどうか

車種が豊富なので、新型車の発売も相応に活発だ。2016年には日本の市場に適した背の高いコンパクトカーのルーミー&タンク、新型SUVのC-HRを発売した。2017年に入ると充電機能を備えたプリウスPHVも加えている。

ただしその一方で、基本設計の古い車種も目立つ。ヴィッツは先ごろハイブリッドを加えたが、現行型の登場は2010年だから6年以上を経過した。

ミニバンのエスティマは10年、ウィッシュは8年、セダンのプレミオ&アリオンは10年弱、マークXは7年という具合だ。これらはいずれも国内販売を支える主力車種だったから、フルモデルチェンジを待っているユーザーが多い。トヨタはその期待に応えて欲しい。

2017年にはレクサスLCのほかにカムリのフルモデルチェンジなども予定されるが、売れ筋の新型車はない模様だ。今でも新型車は多い部類だが、以前に比べると国内市場に対して消極的な印象を受ける。

[ 評価:良 ]

トヨタ プリウス

・環境&燃費性能の先進性

トヨタでは売れ筋車種の大半がハイブリッドを設定する。特にプリウスとアクアは、ノーマルエンジンを搭載しないハイブリッド専用車だから、環境&燃費性能が優れ、なおかつ売れ行きも好調だ。

その一方でエコカー減税に該当しないノーマルエンジン車には、アイドリングストップすら装着しないことが多い。V型6気筒の2.5~4リッターエンジン、V型8気筒の4.6~5.7リッターエンジンは、アイドリング時の燃料浪費、排出されるガスや二酸化炭素の量も多い。ハイブリッド車の充実は高く評価されるが、改善を要するエンジンも少なくない。

[ 評価:優 ]

Toyota Safety Sense

・安全装備の充実度

緊急自動ブレーキを作動できる安全装備として、トヨタはToyota Safety Sense C(トヨタ セーフティ センス C)と、Toyota Safety Sense P(トヨタ セーフティ センス P)を用意する。Toyota Safety Sense Cは赤外線レーザーと単眼カメラの組み合わせにより、価格が求めやすく幅広い車種に装着可能だ。

コンパクトカーや基本設計の古いエスティマなどがToyota Safety Sense Cを採用しているが、歩行者を検知できず、緊急自動ブレーキの作動上限速度も時速80kmにとどまる(警報は時速140kmまで作動する)。

対するToyota Safety Sense Pは、ミリ波レーダーと単眼カメラによって歩行者の検知機能を備えるが、現時点では採用車種が少ない。

基本設計の古い車種にもToyota Safety Sense Cで対応しているから、車両に対する衝突防止の効果は期待できるが、歩行者を検知できないのは困る。

[ 評価:良 ]

・価格は割安か

レクサスはメルセデス・ベンツやBMWに準じた価格設定としており、機能と価格のバランスを見ると日本車では割高な印象が伴う。コンパクトカーやミニバンは価格競争が激しく、価格もライバル車の水準に合わせている。

[ 評価:良 ]

販売編

トヨタ クラウントヨタ ハリアー

・ディーラー網の充実度

トヨタのディーラー網はトヨタ/トヨペット/トヨタカローラ/ネッツトヨタの4系列に分かれ、合計4,900店舗に達する。日産の2,100店舗やホンダの2,200店舗に比べると、トヨタは圧倒的に多い。

また、系列によって取り扱い車種が異なることも特徴だ。クラウンはトヨタ店、ハリアーはトヨペット店、カローラはカローラ店、ヴィッツはネッツトヨタ店という具合に専売車種を設ける(一部地域では違いがある)。

取り扱い店舗はその車種の販売に力を入れるので、顧客サービスが入念に行われ、ユーザーと販売会社の双方にメリットがある。またトヨタの場合、メーカーに依存しない地場資本の販売会社が多い。販売会社とメーカーの立場は対等だから、トヨタは国内向けの車種も入念に開発し、販売会社は責任を持って売る好ましい関係が築かれた。ただし最近はハイブリッド車を中心に全店が併売する車種が増え、系列化が形骸化する傾向も見られる。

レクサスについては、販売店舗数が約170拠点と少ない。しかも出店が都市部に偏り、1県に1店舗の地域も残る。大型店舗のトヨタ店やトヨペット店に「レクサスコーナー」を設けるなど融通を利かせるべきだが、トヨタはブランド構築を前提にそれを認めていない。

レクサスは日本車なのだから、都市部に限らずどの地域でも公平に買えるようにすべきだ。

[ 評価:優 ]

・ユーザーサービスのメリット

残価設定ローンはほかのメーカーと同様に用意しているが、金利が年率3%を下まわる低金利は少ない。

金利が4%以下になるとコストを費やす販売促進対策になり、ほかのサービスが希薄になることも多いから、低金利を用意しないのもひとつの方法だ。このほかクレジット一体型自動車保険に早い時期から力を入れており、加入や利用の仕方によってはメリットになる場合がある。

[ 評価:優 ]

ユーザーから見たトヨタの結論

・メリット

ハイブリッド車を含めて品ぞろえが充実しているので、幅広いニーズに対応できる。店舗数も多く、レクサスを除くと全国のどの地域でも購入しやすい。

・注意点

安全装備と環境/燃費性能については、車種によってバラツキが大きい。燃費はハイブリッド車が優秀な半面、大排気量車を中心に、ノーマルエンジンには燃費の良くない車種が目立つ。

日産 エルグランドトヨタ アルファード

また以前のトヨタは、ホンダがストリームを発売するとウィッシュを投入、日産がエルグランドを好調に売ればアルファードで駆逐するという具合に、自社製品よりも好調に売れるライバル車を徹底的に攻撃した。

これは傍観していて快い戦略ではなかったが、他メーカーにも緊張感を与え、国内向けの新車開発を活性化させたことも事実だ。

ホンダのセンタータンクレイアウト、低床設計などはトヨタへの対抗策でもあり、ホンダはトヨタに鍛えられたといっても良いだろう。またトヨタ自身も、ホンダモビリオに対抗すべく、先代シエンタで空間効率の優れた薄型燃料タンクを開発している。この機能は現行シエンタにも受け継がれ、大切なセールスポイントになった。

このようなトヨタの他メーカーに対する執着が、最近は希薄になっている。そればかりかヴィッツはホンダフィットに比べて商品力が見劣りして、ルーミー&タンクもスズキソリオに勝るとはいい難い。国内に対する思い入れが、以前に比べると弱まったようだ。

トヨタは今でも国内販売のナンバーワンだが、その背景には、ほかのメーカーが大幅に弱くなったこともある。トヨタは日本の自動車メーカーのリーダーだから、業界全体に対しても父親のように厳しくて優しい存在であり続けて欲しい。

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