プリウス不人気でもトヨタが5年振りに復活させる新型「プリウスPHV」には市場期待が高まる理由(1/2)

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:和田清志/トヨタ自動車
プリウス不人気でもトヨタが5年振りに復活させる新型「プリウスPHV」には市場期待が高まる理由
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約5年ぶりの復活に高まる期待の声

トヨタ 新型プリウスPHVと新型プリウストヨタ 新型プリウスPHV

プリウスのプラグインハイブリッド車、「プリウスPHV」が今冬に発売される。日本仕様は今年6月に公開され、当初は今秋の発売を予定していた。だが、「諸般の事情」により、発売時期が延期された。

先代である三代目「プリウス」の「プリウスPHV」は2009年末から2012年初頭まで、約2年間に渡って日本市場では販売されており、今回の新型は約5年ぶりの市場復帰となる。自動車業界関係者のなかにも「自分自身の次のクルマ候補の1台」として、その名を挙げる人が多いなど、市場から大きな期待が寄せられているクルマだ。

見た目にも、通常の「プリウス」に比べると、ボディ各部の加飾が華やかで、特にリアコンビライトの形状が大きく違うことで「プリウス」とは全く違うクルマに見える。ルーフの太陽光パネルのインパクトも大きい。さらにインテリアでは、テスラ「モデルS」を意識したような、縦型の大型のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)が目立つ。

ブームになる理由その1:時代の変化

先代プリウスPHVトヨタ 新型プリウスPHV

今回の新型プリウスPHVが、新型プリウスと比べて、こうしたパッと見で「明らかな違い」を強調しているのは、先代で「普通のプリウスとの明確な違いが分かりにくい」という市場の声を反映したからだ。

時計の針を少し戻すと、いまから7年前の2009年後半。一般向け発売を前に、筆者はトヨタ東京本社が所有する先代「プリウスPHV」の広報車両を借り、首都圏周辺を数日間に渡ってじっくりと走った。

その時の印象は、

①「クルマがかなり重く感じる」

②「充電用のケーブルが太く重くて、扱いにくい」

③「どうしてもこれを買いたいと思える、動機がない」

というものだった。

さらに、この2009年後半は、EVブームの真っ最中。日産「リーフ」の販売を機に、メディアでも次世代自動車に関する報道は、EV一色。大学発進のベンチャーや、地方の多業種からの参入も相次ぎ、EVへの関心が一気に高まった時期だ。

そうしたなか、電動車の仲間であるプラグインハイブリッド車は「EVへの進化の途中」といったスタンスで、世の中から「中途半端なクルマ」に見られてしまった。その結果、日本市場で「プリウスPHV」は短命に終わった。

それから約5年が経った2016年後半、日本市場は「EVブームは遠い過去」といった感じだ。プラグインハイブリッドについては、三菱「アウトランダーPHEV」が新たなる顧客を獲得し、欧州勢ではBMWやVWがラインアップを増強して日本市場に参入してきた。EVブームが去ったことで、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、EVという電動車の正常進化の順序が明確になった印象だ。

プラグインハイブリッド市場の足固めができた今、プラグインハイブリッドの本命ともいうべき「プリウスPHV」への期待が高まるのは当然だ。

>>電動車開発で遅れをとったトヨタが本気で作った新型「プリウスPHV」写真でチェック

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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