トヨタ「ヴェルファイア/アルファード」の新型と旧型を比較してみた(2/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
内装のデザイン&居住性
インパネは豪華な仕上げで、カーナビ画面やATレバーが収まる中央部分をワイドに見せている。この基本的な手法は新旧モデルともに同じだが、装飾類は新型で一層エスカレートした。メッキパーツや木目調パネルの光沢が強まり、各部を輝かせている。装飾が過剰気味だが、フロントマスクのイメージとは合致する。
居住性を新旧モデルで比べると、1列目はほぼ同じだ。サポート性を若干向上させたが大差はない。
2列目はセパレートシート車の座り心地が快適になった。オットマンが内蔵されるため、旧型では座面の前端部分が硬かったが、新型は柔らかい。
ただし座面の前方が大きく持ち上がる違和感は残る。小柄な同乗者が座ると腰が過度に落ち込み、大腿部や膝の裏側が押されやすい。
こうなる理由は、オットマンを大きく持ち上げて、背もたれも大きく寝かせて、寝そべった姿勢で移動することを想定しているからだ。この姿勢では着座姿勢が不安定になるから、座面の前方を持ち上げて腰が落ち込むようにした。
とはいえ、このような座面形状を採用しても、寝そべった状態で衝突事故が生じるとシートベルトは正常に機能しない。オットマンの角度は最大でも45度程度に抑え、安全な着座状態を保てるようにすべきだ。「停車中に仮眠する時に寝そべりたい」というニーズがあるなら、走行中はオットマンが大きく持ち上がらず、背もたれも過度に倒れない安全装置を付けて欲しい。
いずれにしても今のミニバンのオットマンとリクライニング機能は、ヴェルファイア&アルファードに限らず危険な構造になっている。
3列目を新旧モデルで比べると、1/2列目のスライド位置を共通化した状態で、3列目の足元空間が新型で30mm広がった。もっとも、旧型も足元空間は十分に取れていたから、さほど広くなった印象はない。
むしろ座り心地の改善に注目したい。旧型に比べると新型の3列目は座面の柔軟性が増して、サポート性も良くなった。2列目にはおよばないが、いかにも補助席という印象は薄れた。
新型で残念なのは、床の位置をほとんど下げていないこと。プラットフォームを大幅に見直したから、床を下げて乗降性を向上させ、低重心化を図って欲しかった。それなのに「視線の高さを維持して、見晴らし感覚を悪化させたくない」という理由で床を下げなかった。
進化度数:2点/10点(もう少し頑張りましょう)
動力性能
直列4気筒エンジンは、旧型は2.4リッターだが、新型は2.5リッターに拡大された。そのために最高出力は12馬力高い182馬力、最大トルクは1.2kg-m上まわる24kg-mになる。
新型は足まわりの変更や装備の充実によって車両重量が70~90kg増したが、エンジンの回転感覚と静粛性も向上した。登坂路に差し掛かっても、4気筒であることを意識させない。
V型6気筒の3.5リッターは、旧型から変更を受けていない。動力性能も大差ないが、実用回転域の駆動力が高いために車両重量とのバランスは良い。
ハイブリッドは、新旧モデルともに後輪をモーターで駆動する4WDになる。旧型の排気量は2.4リッターで、エンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は190馬力であった。新型は2.5リッターで197馬力としている。数値を見ると大差はないが、実用回転域の駆動力が向上して運転しやすくなった。
進化度数:3点/10点(比べてようやく気付くレベル)
[次のページに続く]
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