【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一(4/4)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:オートックワン編集部・茂呂幸正・トヨタ自動車
ピンクのクラウンもイイけれど・・・デザイナーいち押しカラーはコレ!
AO:ボディカラーについてはどうでしょう。CMに登場しているピンクも販売することになったそうですが。
F:ピンクはキャンペーンカラーとしての位置づけですが、「トヨタが変わる」ことの象徴として、限定でこういうクルマがあっても面白いかなと考えています。塗ってみたらそれほど違和感はありませんでしたし。
それ以外では、プレシャスブラックパールとプレシャスシルバーが、キラキラしつつもしっとりしていて、カタチを際立たせるという点でお勧めです。
個人的にはダークレッドマイカメタリックもお気に入りです。従来のクラウンでは赤系の色はあまりなかったのですが、けっこうカッコいいと思っています。
イマジネーションが膨らむ瞬間
AO:ところで藤吉さんがデザインを進めていくうえで、イマジネーションが膨らむ瞬間は、どんな時でしょうか。
F:個性豊かなデザイナーがたくさん集まって、コンペを重ねたりしながら、1台のクルマを作っていくわけですが、そのときにまとまる方向ではなく、突き抜けていくようなアイディアが出てくるときがあるんです。その瞬間ですね。
「こういうデザインが好き」と決め付けてしまっては、そういう瞬間には出会えないでしょう。まとめに入ったら、コストや安全などを考えて、どんどん萎んでいってしまいます。人間って、居心地の良いほうに行きやすいのです。でもそれでは時代が追いついてしまう。
クリエイティブな仕事って、常に人の先を行かないとダメだと考えています。今、トヨタはそういう方向に向かっているので、これからも個性的なデザインがどんどん出てくると思います。
デザイナーを目指す君へメッセージ
AO:カーデザインを目指している若い読者へ向けて、アドバイスをいただけますか。
F:2つあります。ひとつは既成概念を取り去ること。クルマ好きであることは脇に置いといて、興味の範囲を広げていくことが大事です。知識や技能を吸収するスポンジの量を増やすのです。
ひとつのことに固執してしまうと、そこから抜け出せず、いいカタチが描けないのではないでしょうか。変わったデザインを見る機会を増やすことも重要でしょう。
もうひとつは、他人を納得させる能力を身につけることです。
スケッチの表現力もそうですが、話し方などのパフォーマンス面でも、自分の考えをまとめ、相手を納得させることが大切ではないかと思います。
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