トヨタ プリウス G SPORTS(G's) 試乗レポート/飯田裕子(1/2)
- 筆者: 飯田 裕子
- カメラマン:島村栄二
トヨタが本気で作り上げたプリウスのスポーツモデル「プリウス G’s」
トヨタの「G’s」シリーズをご存知だろうか。
トヨタの「GAZOO Racing」というプロジェクトの一環で、市販車をベースに走りの楽しさや気持ち良さを追及し、開発されたモデルシリーズを“Gスポーツ”=『G’s』という。
そのG’sシリーズの第一弾となった「G’s ノア/ヴォクシー」が2010年6月に発売されて以来、昨年(2011年)の10月には「G’s ヴィッツ」、12月には「G’s プリウス」が次々と登場した。
ちなみに、東京オートサロン2012では「G’s アルファード/ヴェルファイア」「G’s マークX」が参考展示され、今後も続々とモデルラインナップを増やしていこうという意気込みが感じられる。
G’sモデルの特徴は、市販車をベースにトヨタ社内のエンジニアやデザイナー、テストドライバーたちが開発を行うカスタマイズモデルであるという点だ。
内外装のデザイン変更はもちろん、サスペンションやタイヤ、ブレーキのチューニングや選択にいたるまで、G’s専用の装備は社内チームが行っている。
中でも特筆すべきは、ボディ剛性の強化にあると言ってもいい。
G’sの各モデルたちはボディ強化のために補強バーが採用されるだけでなく、スポット溶接増しまで行われている。適所にスポット増しが行われていることで、“走らせる楽しさ”の魅力が強化されているのだ。
一般的に、エアロパーツ類や足回りの変更は購入後でも可能なカスタマイズのメニューとして広く知られていることだが、G’sはボディを組み立てる工場の中からカスタマイズが始まっているということになる。G’sは、かなり本気のモデルだ。
質感の高さとバランスの良さが「絶妙」
G’s プリウスは、エコカーやハイブリッド車だからと言って走る楽しさを諦める必要がないばかりか、お世辞抜きで内外装も含め全体の質感すら高いと感じられるモデルに仕上がっていた。
それは“これぞG’sの魅力”とすら思える、スポーティさの絶妙なバランス・味付け加減が最大の特徴と言える。まずドアを開けると、ブラック基調のインテリアに大人っぽいスポーティさを感じることができる。
前席のバケットタイプのシートは、G’sモデル専用に開発された。全体的に重厚感が感じられ、座っただけでスポーティな印象と上質な座り心地が得られる。
また、ブラック基調の室内にはスポーツモデルらしくさり気ないレッドステッチが取り入れられ、プリウスの走行始動ボタンも“G’s”マーク入りのレッドボタンに変更されている。
その他、センターパネルやドアのスイッチパネルに採用されたカーボン調塗装も、これまでトヨタでは採用したことのない手法を用いた塗装が施され、手触りも見た目もとてもいい。
運転席足元のアルミペダルも含め、スポーティな雰囲気が伝わるデザインや素材変更が行われているのだが、やり過ぎず、さらに上質さが感じられるバランスの良さが絶妙だ。
それは外観も同じだった。前後バンパーや専用マフラー(バッフル部)、LEDイルミネーションランプなどにより、スポーティさが強められているのだが、品が保たれているところが嬉しい。
トンガリ過ぎて“いかにも”なオーラを出し過ぎると、引いてしまう人も少なくないわけで、女性でもスポーティさやスタイリッシュさに好感が持てると思う。
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