トヨタ C-HR 先行試乗レポート/気になるハイブリッドとターボの価格差も徹底比較(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志
116馬力の1.2ターボで動力性能は足りるの!? 気になるスペックをハイブリッドとともに比較してみる
C-HR 1.2リッターターボの最高出力は116馬力(5200~5600回転)、最大トルクは18.9kg-m(1500~4000回転)。欧州志向の強いハッチバックモデル<オーリス120T>と同じで、自然吸気エンジンであれば1.8リッタークラスに相当する。車両重量が1470kgと重いために動力性能の不足が心配されるが、プロトタイプを試乗した印象では、平坦路であればさほど不満はない。CVT(無段変速AT)のギヤ比はオーリス120Tと同じだが、最終減速比はローギヤード化した。4000回転を超えた領域で加速が鋭くなる性格もあり、比較的機敏に走れる。
ただし登坂路では20kg-m以上のトルクが欲しいと感じた。開発者によれば「燃費規制を含めて欧州市場に対応するにはガソリンターボが必須条件だが、今のトヨタには1.2リッターと2リッターしか設定がない。性能不足は承知で1.2リッターのターボを選択した」とのことであった。
新プラットフォーム<TNGA>のセッティングもC-HRで熟成が進んだ印象
今回、試乗したC-HRのグレードは、1.2リッターのターボが17インチタイヤ(215/60R17)を装着したS-T。ハイブリッドは18インチ(225/50R18)のGであった。発売前のため、試乗コースは伊豆・修善寺にある日本サイクルスポーツセンター(CSC)内に限られ、主にロードコース(1周5キロ)を走った。本来は自転車用のコースということもあり、路面の状況は実際の公道よりも良好な状況であることを先にお断りしておきたい。
両車ともカーブを曲がる時にはボディが少し大きめに傾くが、挙動の変化が穏やかに進むから不安を感じにくい。操舵感は機敏ではないが、SUVとしては正確性が高く、思いどおりの旋回軌跡を描ける。運転がしやすく感じられ、危険回避時には後輪が踏ん張って安心感が高い。このあたりは同じプラットフォームを使うプリウスと比べてもバランスが良い。
プリウスの足まわりは少しスポーティーな方向に振りすぎた印象があり、機敏に良く曲がる半面、下り坂の制動などでは後輪の接地性が削がれやすい傾向がある。CーHRではこのあたりを上手に煮詰めた。
C-HRの開発者によると「プリウスの開発から約1年が経過しており、TNGAをベースにした車両開発も進化している」とのことであった。
17インチと18インチ、C-HRのタイヤサイズはどっちを選ぶべき!?
C-HRに用意される2種類のタイヤサイズの違いを比べると、今回の試乗シーンの中では18インチの印象が良い。
カーブを曲がる時には、17インチでは旋回の外側に位置する前輪が少し歪む印象があるが、18インチならグリップが利く。そうなると乗り心地の悪化が懸念されるが、足まわりが柔軟に動いてタイヤの接地性が優れ、粗さはない。18インチは少し硬めだが、引き締まり感が伴ってむしろ快適に思える。
開発者によると「ターボとハイブリッドでは駆動方式も違うから足まわりの設定を変えたが、それぞれに用意された17/18インチは共通化している。セッティングは主に18インチで行った」という。
なおC-HRに搭載されるショックアブソーバーのブランドはSACHS(ザックス)だ。開発者は「最初は欧州で生産する都合上、現地調達のメリットを考えてザックスを採用したが、結果的に日本製のショックアブソーバーとは違う欧州車的な仕上がりになった」とのこと。
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