トヨタ ヴォルツ Z 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:森山俊一
エンジンの力強さとパワー感を最大限に引き出す6速MTは、走る楽しさにも大貢献。
クラッチをつないでアクセルを踏み込む。想像していたのは、他のトヨタ車に積まれる2ZZ-GEエンジンの加速感だ。ところがヴォルツのこのエンジンは、まるで異なる加速フィーリングを見せるのだ。俊敏に吹き上がるレスポンスは、6200rpmを超えるとさらに上昇。低速カムから高速カムへの切り替わりがはっきりと伝わってくる。もちろんエンジン音も、官能的な高音質へと移り変わる。そして吹き上がりの勢いは、レッドゾーンの8000rpmまで衰えることはない。
スポーツバージョンといってもいい、このクルマのシャープな加速感は6速MTとの組み合わせの恩恵だろう。6速での高速クルージングは燃費の上昇に貢献するが、1速から5速は当然クロス化される。おかげでエンジンのトルク&パワーが存分に引き出され、アグレッシブなスタイルにマッチした、力強い加速感が満喫できるのだ。
足回りは専用サスペンションが奢られ、215/50R17のサマータイヤを装着する。乗り心地は引き締められた硬さも、大径タイヤにありがちな突き上げもなく、意外にも素直な挙動だった。だがコーナーの車速をあげると、前後ともズルズルとタイヤが流れてしまう。グリップ志向のタイヤに履きかえれば、もっとコーナリングが楽しめそうだ。ブレーキは制動力に問題はないが、ややABSが早く効くきらいがあった。
走る楽しさが感じられるZこそ、スポーツユーティリティワゴンのヴォルツに相応しい。AT仕様も用意されるが、是非6速MTの走りを味わって欲しい。
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