三菱 アウトランダー PHEV vs トヨタ プリウス PHV どっちが買い!?徹底比較(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
【三菱 アウトランダー PHEV vs トヨタ プリウス PHV ~モーター性能対決~】
アウトランダーPHEVがエンジンを発電機と位置付け、電気自動車に近い性格を持つのに対し、プリウスPHVは、従来型のプリウスに充電機能を加えたクルマと考えれば良い。プリウスPHVでは、ニッケル水素電池に代わってリチウムイオン電池を積んでいる。モーターはプリウスと同じだが、電池の変更によってモーター駆動時の動力性能が向上。時速100kmまではモーターのみで走ることが出来る。
モーターの最高出力はプリウスPHVが82馬力。アウトランダーPHEVは82馬力のタイプを前後輪に備える。アウトランダーPHEVの出力が単純にプリウスの2倍になるわけではないが、モーター駆動時の動力性能は、プリウスPHVが1.5リッタークラスなのに対し、アウトランダーPHEVは、ベース車と同等の2.4リッタークラスと体感出来る。アウトランダーPHEVの場合、発電に使われるエンジンは2リッターだが、反応の素早いモーターによって動力性能が増幅された印象だ。
充電された電力によって走れる航続可能距離は、JC08モード走行の場合、プリウスPHVが26.4km。アウトランダーPHEVは60.2kmと長い。リチウムイオン電池の総電力量が違うからだ。プリウスPHVは4.4kWh。対するアウトランダーPHEVは12kWhと2.7倍に増える。
ちなみにリーフが搭載するリチウムイオン電池の総電力量は24kWh。アウトランダーPHEVの総電力量は、純粋な電気自動車になるリーフの50%に達する。電池の能力に余裕を持たせているのだ。
【三菱 アウトランダー PHEV vs トヨタ プリウス PHV ~機能/ハイブリッド燃料消費率対決~】
車両の機能の比較は難しい。アウトランダーPHEVは全高が1680mmのSUV、プリウスPHVは1490mmの5ドアハッチバックになるからだ。両車とも大人4名が快適に乗車できて荷物も相応に積めるが、リヤシートの頭上や足元の空間は、背が高い分だけアウトランダーPHEVが広い。プリウスPHVのリアシートは、頭上空間が狭めだ。
荷室の容量もアウトランダーPHEVに余裕があるが、プリウスPHVのリヤゲートも大きく開いて使いやすい。
悪路の走破力は大きく異なる。アウトランダーPHEVは前後輪にモーターを備えて4WDを成立させ、なおかつ最低地上高も190mmと高い。プリウスPHVは2WDで140mmにとどまる。
以上の違いを考えると、アウトランダーPHEVは、雪道などの悪路を含めた長距離ドライブに適する。プリウスPHVは、市街地が中心の日常的な移動にピッタリだ。
気になるのは走行に要するコスト。これはガソリンの燃焼に基づくハイブリッド走行と、充電された電力を使ったEV(電気自動車)走行に区分して考える必要がある。
カタログには「プラグインハイブリッド燃料消費率/複合燃料消費率」として、アウトランダーPHEVが67km/L、プリウスPHVが61km/Lという数値が掲載されているが、これはまったく意味のないデータだ。
プリウスPHVであれば、全走行距離の内の48.3%をモーターのみのEV状態で走ったと仮定し、燃料消費率を割り出している。この考え方に異論はないが、プラグインハイブリッド燃料消費率に、EV走行に要する電気代は一切加味されていない。51.7%のハイブリッド走行に要した燃料だけで、100%の走行を行ったとみなし、数値を割り出している。だから60km/Lを超える法外な燃費数値が示されるのだ。この計算式に基づけば、リーフなどのEVは「無限km/L」になってしまう。
「プラグインハイブリッド燃料消費率」は国土交通省が定めたが、ユーザーを錯誤に陥れる危険性が高い。仮にこの数値を示すなら、EV走行に要する電気代も、ガソリンの燃料消費率に換算して加味しなければならない。
ならばどの数値を見て走行コストを判断すれば良いかといえば、充電された電力を使ったEV走行に基づく電力消費率(km/kWh)と、ガソリンエンジンを駆動して走る時のハイブリッド燃料消費率(km/L)だ。
頻繁に充電を行うユーザーであれば、トータルでの走行コストが「電力消費率」に近づく。逆に充電をあまり行わず、ガソリンを燃焼して走る距離が長引けば「ハイブリッド燃料消費率」の割合が増える。
アウトランダーPHEVはG・セーフティパッケージ、プリウスPHVはSという買い得グレードで両車の値を見ると、「電力消費率」はアウトランダーPHEVが5.9km/kWh、プリウスPHVが8.74km/kWhだ。「ハイブリッド燃料消費率」はアウトランダーPHEVが18.6km/Lで、プリウスPHVが31.6km/Lになる。
プリウスPHVはアウトランダーPHEVに比べて車両重量が380kg軽く、全高は190mm低い。ボディが軽く、空気抵抗も小さいことから、両方の消費率でプリウスPHVがアウトランダーPHEVを上まわった。
特に「ハイブリッド燃料消費率」の差は大きく、プリウスPHVの値はアウトランダーPHEVに対して70%の上乗せだ。「電力消費率」も約48%の上乗せ。両車の燃費性能を比較すれば、プリウスPHVが圧倒的に勝る。
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