プリウス不人気でもトヨタが5年振りに復活させる新型「プリウスPHV」には市場期待が高まる理由(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:和田清志/トヨタ自動車
ブームになる理由その2:「プラグイン」に対する抵抗感がなくなったこと
再び、2009年頃を思い出すと、トヨタは自動車関連や、スマートグリッドなどの環境関連のイベントで、「プラグイン」に対する訴求活動を進めていた。その頃はまだ「プラグ(充電口)」を「イン(接続する)」という言葉と行為が周知されていなかったのだ。
また、世の中がEVブームであったことから、メディアでは直流による急速充電について取り上げることが多く、交流による普通充電は「急速充電より、利便性が低い」といった印象を一般ユーザーに与えてしまった。
さらに、日本が主導する「チャデモ方式」に対して、欧米メーカーたちが反発して彼ら独自の規格を取り決めたり、市場が急成長した中国でも政府がEVブームを煽って中国独自の充電規格を登場させたため、経済メディアでは充電インフラに対して政治的動向を扱う記事が目立った。
それから約5年、現在の日本では、イオンモールなどの大型商業施設、道の駅、高速道路のサービスエリア、さらにコンビニなど、普通充電の専用ポートが全国で約16000カ所まで広がった。急速充電インフラも約7000カ所あるのだが、全国各地を巡っていると、普通充電ポートの方が、圧倒的に増えたという印象を持つ。
一般の方にとっても、「あれは、クルマを充電する機械だ」という意識が徐々に定着している。
火付け役の「タマ」を待っていた!
大手の充電機器メーカー関係者は「経済産業省からの補助金が、来年度も継続される予定ですし、普通充電器はこれからまだまだたくさん売れると思います。現状で一番の課題は、対象となるクルマが少ないことです」と話してくれた。
充電インフラの整備が着々と進み、プラグインに対する社会の抵抗感や違和感が減ってきた今、プラグインハイブリッドが盛り上がるためには「タマ」が必要なのだ。
このタイミングで登場する、プラグインハイブリッドの本命「プリウスPHV」が、プラグインハイブリッドのブームを作るきっかけになることは、間違いなさそうだ。
[Text:桃田健史]
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