岡本幸一郎ですが何か?/フィットハイブリッドを考える

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フィットハイブリッド発売目前!ハイブリッドカーの今後とは

ハイブリッドカーがこれほど急速に浸透するとは、手がけるメーカーにとっても予想外だったんじゃないかという気もするところだが、今の世の中、「ハイブリッド」であることが売れるための条件のひとつになったのは明白だ。

ひとくちに「ハイブリッド」といっても、いろいろなタイプが存在するわけだが、それについてはあらためて述べるとして、筆者は少し前まで、ハイブリッドカーに対して、どちらかというと否定的な見方をしていた。それは、多くのユーザーにとって「モトが取れない」という理由で。

ハイブリッドが本当にメリットをもたらす状況というのは限定的だし、製造やリサイクルのことを考えると、実態はあまりエコなものではない点など、否定したくなる要素は多々あるのだが、とにかく金銭的にトクできるとは限らないという部分で本末転倒だと思っていた。

ところが、そんな気持ちが変わってきたのはユーザーの声を聞いてから。ハイブリッドカーを購入した人はみなおしなべて「満足」しているのだ。

それはやはり「燃費がいい」というのが主な理由だ。

どうやら人間の心理というのは、モノを買ってからもかかるお金には敏感だが、買うときのみ1回だけかかるお金にはあまり頓着しないらしい。だからハイブリッドカーは買うときに少々割高であっても、手にした時点から目に入ってくるのは、燃費のよさやスムーズなアイドリングストップなど、直感的なメリットばかりになる。その点では、精神的にいいものなのかなと思う。

実際に燃費がいいかどうかは、ユーザーの使い方次第ではあるわけだが、多くの人がいいと思っていることからしても、少なくとも「期待に応える」存在ではあるわけだ。とはいえ、ハイブリッドカーの得意or不得意など本質的な部分が変わるわけではない。

多くの人が興味を持っているであろう、まもなく登場するフィットハイブリッドでちょっと考えてみよう。

機構的に共有部分の多いインサイトが30km/Lの燃費をマークしていて、フィットハイブリッドも同等と予想される。一方で現行フィットも、すでに24km/Lをマークしている。そのフィットにIMAを搭載すれば、簡単にもっと燃費がよくなるはず、という気がするところだが、そうではない。

考えてみると、フィットは本来、空力性能はよろしくないし、車両重量も軽くはないなど、インサイトよりもはるかに燃費面では不利。それを現状の中で上手く各要素のベストバランスを探り、この燃費を実現したというクルマ。そこにIMAを積むと重くなるし、空力がよくなるわけはないし、その状態で燃費を上げるのは、実はけっこう難しいのでは?ということに気づく。

それでもインサイトと同等の燃費までもっていくには、おそらくIMA以外の部分で、タイヤの特性やCVTの変速の制御など根本的な部分でも燃費を上げるための工夫や努力を相当やったんじゃないかと思う。乗り味や実燃費は登場を楽しみにするとして、気になる価格は、約160万円が下限となる見込み。ノンハイブリッド車との価格差は約25万円といったところか。

エコカー減税の減税率の違いもあって、実質的な差はもっと縮まるわけだが、この差をどう考えるか?使い方(走り方)によって状況は変わってくるので、一概にはいえないが、燃費でトクしようと思えば、相当な距離を走らなければならないというのは変わらないはず。そうではなく、ハイブリッドならではの乗り味に共感できる人にとって、付加価値料と考えれば、決して高くはないと思う。

インサイトとハイブリッドではないフィットの乗り味を比べると、モーターが押し出す発進加速のトルク感はインサイトの圧勝だった。それが今度は、フィットで味わえるようになるのだから、そこにも価値を見出すことはできる。そしてもちろん、アイドリングストップ。

今後は、ノンハイブリッド車でもアイドリングストップ機構を持つものは増えていくと思うが、再始動時の振動など、アイドリングストップをスムーズにこなすのは、やはり駆動モーターを持つハイブリッドカーの得意とするところだ。

こうした部分にメリットと感じる人に、ハイブリッドであること自体が「付加価値」となって、価格差や実燃費を超えた意味を持つんじゃないかと思う。

エントリーモデルのフィットにハイブリッドをラインアップするホンダに対し、日産ではフラッグシップのフーガにハイブリッドを加える。1モーター2クラッチ方式という、これまでになかった独自の機構や、エネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーを採用し、環境性能と高性能を両立させているという。実は、先日メディア向けに開催された日産の先進技術説明会で試乗することができたのだが、パワフルさだけでなく、非常にスムーズだったことに驚いたばかり。

また、とても積極的にエンジンを止める制御を可能としている点も印象的で、あまりパワーを必要としない高速巡航時にもエンジンを止めてしまうことに驚いた。

燃費についても、一説では10・15モード燃費がコンパクトカーなみの19.0km/Lに達するという情報もあり、そうなるとトヨタ勢の高級サルーンで最良のクラウンハイブリッドの15.8km/Lを大きく上回ることになる。

少し前まで、動力性能はさておき、トヨタのTHS搭載車を他社の同クラスのハイブリッドカーが燃費面で上回ることはまずないと認識していたのだが、そうではなくなるようだ。

ところで、ミニバン人気がこれほど高いのに、なぜまだハイブリッドがわずかしか存在しないんだろうというのはちょっと不思議な気も。

ミニバンだとハイブリッドにするメリットがより大きいような気もするんだけど・・・。

エスティマ(かつてはアルファードも)の次に突破口を開くのは誰だろう・・・?

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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