autoc-one.jp 記事・レポート 特集 自動車評論家コラム エコカー補助金終了は新車購入チャンスの終わりなのか? ~松下寸評~

自動車評論家コラム 2010/8/13 09:09

エコカー補助金終了は新車購入チャンスの終わりなのか? ~松下寸評~

エコカー補助金終了は新車購入チャンスの終わりなのか? ~松下寸評~

エコカー補助金終了でどうなる自動車販売

7月上旬頃には、もしかすると再延長もあるかと思わせるニュースも流れたエコカー補助金は、残念ながら9月いっぱいで廃止されることが確定した。

今後の予算編成の中で改めて設定されたり、あるいはエコカー補助金に代わる制度が作られる可能性はゼロではないが、いずれにしても当面はエコカー補助金が廃止される前提で新車購入を考えるしかない。

トヨタは先にプリウスの納車メドの発表を止めたが、これはすでに9月納車が間に合わなくなったことが主な理由と見られる。トヨタはプリウス以外にもサイなどはすでに納車が間に合わない状況だし、日産でもジュークやマーチ、エルグランドが、ホンダでもフリードスパイクなど、最近発売されたばかりのクルマは、初期受注によって納車が9月末までに間に合わない状況になりつつある。

エコカー補助金を受けるには9月末までに登録されることが条件とされているから、これが間に合うかどうかは大きな問題だ。

また9月末までに登録されたとしても、それ以前の段階で予算が消化されてしまったら、やはり補助金を受けることはできない。条件に合致したエコカーなら、普通に買っても10万円、13年落ちの中古車を解体するなら25万円の補助金(軽自動車はそれぞれ半額)を受けるチャンスは、もうわずかしか残っていないと思っていい。

今から何とか駆け込みで補助金を狙おうというなら、価格の安いクルマほど有利(補助率が高くなる)になるから、フィットやデミオ、間に合うならマーチなどを狙うのが良い。

軽自動車は補助金の額が半額という差別を受けているので、今の段階で焦る必要はそれほどでもない。

補助金は終わっても減税は続く

トヨタ本社

さて、エコカー補助金が終わった後はどう対応するかだが、エコカー減税はまだしばらくは継続される。自動車取得税は2012年3月末まで、自動車重量税は2012年4月末まではエコカーに対する減税が続く。

だからクルマを買うチャンスはまだ続くのだ。

大雑把な計算で言うと、200万円くらいのクルマを買った場合、そのクルマの排ガス性能が☆☆☆☆で燃費基準+25%を達成しているなら、エコカー減税の減税幅が75%になり、ざっと13万~14万円くらいの減税が適用される。

9月末までなら、これに10万円または25万円が上乗せされるから、けっこうな負担減になっていたのだが、仮に補助金が10万円だとするなら、それがなくなってもまだエコカー減税で半分以上が残る計算だ。

エコカー補助金が廃止された後でクルマを買うとしても、そう悲観することはない。それでも、10月からは新車の売れ行きが大幅に落ち込むものと予想されている。

落ち込み幅がどれほどになるかはいろいろな要素によって変わるが、補助金終了前の駆け込み需要が高まれば高まるほど、その反動による落ち込みが大きくなる。

自動車業界の事情通の中には、10月以降の販売が前年に比べて40%~50%もの落ち込みになると予想する人もいるほどだ。万一そんなことになったら自動車業界は大変で、自動車メーカーもディーラーも大赤字を出すことになりかねない。

なので、売れ行きの落ち込みを防ぐためにいろいろな対策をとるはずだ。というか、実際には値引きによる対応をしてエコカー補助金がなくなる分を極力カバーしようとするはずだ。

トヨタは10月以降、販売の落ち込みを防ぐために台当たり5万円の販売促進費をディーラーに払うことを明らかにしている。これは単にディーラーに対して“10月以降は5万円値引きして販売しろ”といっているのではない。メーカーが台あたり5万円出すのだから、ディーラーも5万円負担して10万円を値引きに振り、“エコカー補助金分を補てんしろ”と言っているのに等しい。

トヨタに限らずほかのメーカーも、10月以降は多かれ少なかれ販売促進費を出して、落ち込みを防ごうと必至になるはず。これによって販売が盛り返せるなら、落ち込みはせいぜい10%~15%程度にとどまるのではないかと見ている。

すでに補助金終了に対応した動きも

そうした動きはすでに出ている。8月の時点で9月末までに登録できるかどうか微妙な車種はいくつもあるし、また9月末ぎりぎりに登録したのでは、それまでのエコカー補助金の申請状況によって予算が終わってしまうケースも考えられる。

補助金が間に合わないなら買わないと言われたら困るので、この部分での対応はすでに始まっている。

もちろんあまり露骨な形で補てんを表明することはできないようだが、万一エコカー補助金が間に合わないような事態になったら、その分をディーラーが負担しますと約束して販売する例が出ている。

実際の問題として、9月30日登録に間に合った人と、間に合わずに10月1日で登録した人とで、同じクルマに対する支出が10万円(または25万円)も違ったのでは、ユーザーを納得させるのは難しい。もちろんそれはディーラーの責任ではないのだが、知らん振りを決め込むわけにもいかない。

ここはディーラーが一肌脱がなければならないシーンだ。

9月までは、エコカー減税に加えてエコカー補助金もあったので、ディーラーは比較的売りやすい状況が続いていた。プリウスのようにほとんど値引きをしないような売り方ができたわけではないが、値引き幅を抑え気味にしても実質的な支払額が抑えられたのでユーザーを納得させることができた。

当然ながら10月以降は、抑制気味の対応をしていた値引きを思い切り拡大して販売の拡大を図ることになる。どこまでがエコカー補助金の補てん分で、どこからが値引きの拡大だか分からないにしても、メーカーやディーラーの頑張り次第で、ユーザーの負担増は抑えられるはずだ。

10月以降、エコカー補助金の記憶が薄れて行けば行くほど、ディーラーの販売条件が引き締まってくる可能性がある。

なので、無理して代替を早める必要はないが、新車を購入する予定があるなら、早めに対応しておいたほうが良い。新車であれば燃費も良くなることでガソリン代の節約にもなるし、税金面も優遇される。そう、新車ならばクルマに掛かってくるランニングコストを抑えることができ、結果としてお財布にも余裕ができるのだ。

何はともあれ、エコカー補助金が終了しても、しばらくは新車購入のチャンスは続くということは間違いない。

筆者: 松下 宏

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