静かすぎるハイブリッド車への対策/今井優杏のコラム

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ハイブリッド車と歩行者の共存の糸口?“アイホーン”とは

ハイブリッド車や電気自動車の走行音が静かすぎて歩行者にキケンとの指摘を受けて、国土交通省が疑似エンジン音の装着を義務化するという対策案をまとめたのは皆さんもご存じだと思います。

その発表を受け、株式会社エー・ピー・アールが『自動車通行案内システム・アイホーン』を発売したとのこと。早速取材に行ってきました。

http://www.apr-jp.com/apr_parts/pro-ihorn.html

『自動車通行案内システム・アイホーン』はハイブリッド車や電気自動車、またエンジン音が非常に静かなクルマに装着するホーンで、自動車の接近に気づいてもらえない際に『クルマが通ります、ご注意下さい』と女性の声でアナウンスを流し、歩行者に注意を促すことがでるというもの。まさに先述の発表にいちはやく対応した商品です。

開発について、㈱エー・ピー・アール代表の金曽裕人氏は意外な裏話を聞かせて下さいました。

「実はこれ、いずれ電気自動車が出てきたときに、色んなクルマのエンジン音がモーター走行中に鳴ればおもしろいなと思って・・・ちょっとジョーク的な気持ちで全然別の商品を作っていたんです」

―ジョーク的な商品とは?

「たとえば国産メーカーの電気自動車からフェラーリみたいな音が流せます!とかね(笑)。我々はレース屋ですから、どうも電気自動車のモーター音では物足りない。静かさ以上に排気音が恋しくなると思ったんです。だったら“無音”というウイークポイントをシャレっぽく使って、エンジン音を人工的に付けて見たらどうだろう、と」

そう、モータースポーツがお好きな方なら、エー・ピー・アール?どっかで聞いたことが・・・と、ピンと来られた方もいらっしゃるかと思います。この商品を開発した株式会社エー・ピー・アールはレーシングカーのメンテナンスや制作を行い、また国内最高峰レースとも表される“スーパーGT”に参戦するエントラントでもあるのです。

―それがこの“アイホーン”開発に転んだのは、やはり国土交通省の発表があったからですか?

「そうです。音モノとしての技術や配線などのノウハウは、レース中にレーサーとピットクルーを繋ぐ無線など、実際に現場で使用しているという自信と実績がウチにありますから、だったら社会貢献的な意味合いも込めて、自動車通行案内システムとして商品を作ろうということになりました。後付けのフェラーリ音よりよっぽど現実的ですし、自分もプリウスオーナーだということもあって、そういえば以前からクルマの接近に気付いてもらえなくて、イライラしたこともあったんです」

金曽氏いわく、やはりプリウスに乗っていて歩行者の多い路地などを通行する際、クラクションを鳴らして驚かれたことも多かったといいます。クラクションでは威圧的になりがちな警告音を、女性の声で注意を促すアイホーンに変えることで、交通環境をより優しくすることを目指しているそうです。

確かに、私自身も急にクラクションを鳴らされて、心臓が縮むくらいビックリした経験がありました。

「ハイブリッド車が通ります」など色んなパターンのアナウンスを実際に街中でテストして、一番歩行者が反応したのがシンプルな「クルマが通ります、ご注意下さい」だったとか。

確かにこれならば、後ろから不意に鳴らされたとしても、ビクッとせずに車両に気付けそうです。「なるべく多くの車両に装着してもらって、事故やイライラを未然に防いでもらえれば」との金曽氏の狙いがどこまでハイブリッド車オーナーに響くのか、今話題の論争なだけに、売れ行きはそのまま世論を反映する結果になりそうですね。

先日ニュース番組にも取り上げられ、問い合わせが殺到したといいますから、注目度の高さが伺えます。構造はとても簡単で、カー用品店などで販売されるキットを購入すれば、自分でも装着できるとのこと。

冒頭の国土交通省の対策案からすれば、低速走行中常時アナウンスを流すわけではないこのホーンは問題の根本的な解決には繋がりませんが、少なくともクラクションではなくこのアナウンスで接近を知らせてくれる車両が増えれば、あの鋭いクラクションを浴び、「ドキっ」「イラっ」などという都会のストレスは軽減されるのではないでしょうか。

こういった商品で自主的にマナーアップして行ければ、とかく対処療法になりがちなメーカーの開発や国の決定を待つ以前に、歩行者や自転車などの交通弱者と最新テクノロジーが共存できる街に近づけるのかもしれません。

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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