日本にない日本車「北米トヨタ ハイブリッド車」編/桃田健史(3/3)

日本にない日本車「北米トヨタ ハイブリッド車」編/桃田健史
トヨタ プリウス トヨタ プリウスc(日本名:アクア) トヨタ プリウスc(日本名:アクア) トヨタ プリウスc(日本名:アクア) トヨタ プリウスc(日本名:アクア) トヨタプリウスプラグイン(日本名:プリウスPHV) トヨタ プリウスv(日本名:プリウスα) トヨタ プリウスv(日本名:プリウスα) トヨタ・プリウスファミリー トヨタ カムリ トヨタ RAV4 画像ギャラリーはこちら

アメリカでハイブリッド車が普及しない理由は「ペイバック」

(手前)プリウス プラグイン/(奥)RAV4 EV

たった「3%」。

これが、アメリカの新車販売全体に占めるハイブリッド車市場の規模だ。この数字、ここ数年は殆ど変化していない。日本は同20%で、日米で大きな開きがある。

この3%という市場に、日米欧韓メーカーが合計43モデルを投入している。シェアは「プリウス」が44%とダントツトップ。これを「プリウスv」が同11%、「カムリハイブリッド」が同10%で追う展開だ。

それにしても、どうしてアメリカ人はハイブリッド車をもっと買わないのか?その理由について、各自動車メーカーの意見を一同に聞く機会があった。

SAEシンポジウムの受付

2月後半、筆者はロサンゼルス郊外で開催された、SAE(米自動車技術会)主催のハイブリッド車・EVの技術シンポジウムに出席した。

その席で、メーカー関係者は皆「カギは、ペイバック」と言っていた。「ペイバック」とは、元を取る、ということ。つまり、ガソリン車に比べて価格の高いハイブリッド車を購入し、その車両価格の差を何年で埋められるか、ということだ。

こうした考えは、当然日本にもある。しかし、アメリカ人は「ペイバック」に対して「物凄くシビア」という。

現在、アメリカでのレギュラーガソリン価格は、全米平均で1ガロン(3.785リッター)あたり約4ドル(400円弱)。これを基に、アメリカ人が年間使うガソリン代を考えると、当然クルマのサイズ・エンジンサイズにもよるが、約700ドル(7万円弱)という計算だ。また、各メーカーはEPA(米環境局)の規定により、燃費に基づく年間ガソリン代金の概算額を各新車向けに公表している。

こうして、年間のガソリン代と新車価格を真剣に“にらめっこ”する。これが、アメリカ人の特性だという。

一方、日本人の場合、燃費も当然気にはする。だが、日本におけるハイブリッド車の購入動機は、そうした実利面と同時に“感情”や“感性”に関わる面も大きい。

「ハイブリッド車って環境に優しくて、それを乗っているって、なんだか気持ちイイ」というような、一種の優越感だ。

ホンダの伊東孝紳社長は、今年2013年初頭に開催されたデトロイトモータショーで「日本のユーザーは、ハイブリッドをイメージ優先で買う傾向がある。それがアメリカでは、ガソリン価格の上昇とハイブリッド車の販売実績が面白いほど連動する」と指摘していた。

つまり、アメリカでハイブリッド車がブレイクする条件はひとつ。ガソリン代がもっともっと高くなることなのだ。

でも、これは日本での同じことでは?いや、そうはならないかもしれない。

ヴィッツの開発担当者が以前、こんなことを言っていた。

「日本でガソリン価格がリッター200円を超えたら、小型車も軽自動車もハイブリッド車も売れなくなる。人はクルマ自体を使わなくなり、クルマを買わなくなると思う」

ガソリン価格が上がり続けると、いつかハイブリッド車は「日本にいない日本車」になってしまうのかもしれない。

前へ 1 2 3

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

トヨタ プリウスの最新自動車ニュース/記事

トヨタのカタログ情報 トヨタ プリウスのカタログ情報 トヨタの中古車検索 トヨタ プリウスの中古車検索 トヨタの記事一覧 トヨタ プリウスの記事一覧 トヨタのニュース一覧 トヨタ プリウスのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる