【解説】トヨタ 新型パッソ(2014年4月マイナーチェンジ)新型車解説/渡辺陽一郎(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:トヨタ自動車株式会社
新型パッソのおすすめグレードは1リッターエンジン搭載の「1.0X Lパッケージ」!
グレード | エンジン | トランスミッション | 駆動 | 価格 |
---|---|---|---|---|
X | 1KR-FE(1.0リッター) | CVT | 2WD | 1,257,709円 |
4WD | 1,398,109円 | |||
X“V package” | 2WD | 1,098,655円 | ||
X“L package” | 2WD | 1,293,055円 | ||
4WD | 1,433,455円 | |||
X“G package” | 2WD | 1,356,873円 | ||
4WD | 1,497,273円 | |||
G | 1NR-FE(1.3リッター) | 2WD | 1,471,745円 | |
+Hana | 1KR-FE(1.0リッター) | 2WD | 1,444,255円 | |
4WD | 1,595,455円 | |||
1NR-FE(1.3リッター) | 2WD | 1,605,273円 | ||
+Hana“C package” | 1KR-FE(1.0リッター) | 2WD | 1,355,891円 | |
+Hana“G package” | 2WD | 1,501,200円 | ||
4WD | 1,652,400円 |
パッソのマイナーチェンジでは、1リッターエンジン以外にもさまざまな変更が実施されている。パッソのグレード構成は従来通りで、「1.0X」「1.3G」に加えて、「プラスハナ」と呼ばれる女性向けのグレードも用意されている。
女性向けモデル「+Hana(プラスハナ)」
プラスハナは2トーンのボディカラーが設定され、エクステリアではグリップ式ドアハンドルが「シンジュパールマイカ」に塗装され、テールランプにもクリアピンクのインナーレンズを装備。
内装では、空調吹き出し口のサイドレジスターリングをピンクゴールドで飾った。1.0Xと1.3Gでは、内装色にモカを採用。ヒーターコントロールパネル、メーターの文字盤をブラウンに統一するなどの変更を施している。
安全装備では、「VSC」「緊急ブレーキシグナル」などを標準装備。スーパーUVカットガラスなども、幅広いグレードに備わっている。
車両価格は1リッターエンジンを積んだ「1.0X」が「125万7,709円」。安全装備の充実などを考慮しても、従来に比べて実質的に3~4万円の価格上昇となった。
マイチェン後のパッソについては、1.3リッターエンジンを搭載したグレードは候補から外して良い。前述の通り、熱効率に優れたエンジンを新開発しながら、パッソには採用されていないからだ。
パッソの1.3リッターの価格が安ければ納得できるのだが、1.3リッターエンジン搭載車は意外と高めの価格に設定されている。1リッターの「1.0X・Gパッケージ」は「135万6,873円」、ほぼ同じ装備を持つ「1.3G」は「147万1,745円」と、1.3リッターは11万4,872円高い。しかも、1.3Gにはアイドリングストップが装着されないので、実質的に「14万円」前後の価格上昇に相当する。
マイチェン前のパッソでは、1リッター3気筒エンジンと1.3リッター4気筒エンジンの価格差について、装備の違いを補正して約「10万円」としていた。その為、マイチェン後のパッソの1.3リッターエンジンは割高だ。
1リッターが改善を受けたことで、燃費にも「8.6km/L」の差が生じており、正直1.3リッターモデルは選ぶ価値がほとんどない。
では、1リッターモデルのどれが買い得かといえば、「1.0X・Lパッケージ」だ。
1.0X・Lパッケージの車両価格は「129万3,055円」。1.0Xに比べて3万5,346円の価格上昇だが、プラスされる装備はスーパーUVカットガラス、リアワイパー、シートリフターを備えたベンチシートなど多岐にわたる。CDオーディオはオプションになるものの、差し引いても実質的に8万円相当の装備が加わる。つまり1.0Xに比べて4万5,000円くらいは割安だ。
一方、プラスハナは快適装備の違いを差し引いても、装飾類の価格換算額が約「12万円」に相当し買い得とはいい難い。なので、実用装備を充実させて価格が割安な「1.0X・Lパッケージ」がベストグレードである。
パッソの今後の課題は、前述の1.3リッターエンジンを高効率なタイプに変更し、なおかつ自動ブレーキの機能を備えた衝突回避の支援機能を採用することだろう。
ダイハツ ムーヴはマイナーチェンジで幅広いグレードに装着したのにパッソが非設定では、コンパクトカーを軽く扱っていることになる。こういったメーカーの対応も、2015年4月に実施される軽自動車の増税を招いた原因のひとつだ。
軽自動車は安全面を含めて機能が充実し燃費も向上したのに、コンパクトカーの魅力が乏しければ、前者の販売比率が40%に達するのも当然だろう。
となれば、国も軽自動車で税収を稼ごうと考えてしまう。車両の開発が与える影響は、その車種のユーザーにもたらす利害や売れ行きにとどまらない。
パッソがすべてのグレードにわたって燃費性能や安全性を向上させれば、ライバル車のフィット、マーチ、スイフト、デミオなども商品力を高める。さまざまな車種を購入するユーザーの満足度が向上し、軽自動車に偏った売れ行きを是正することにも繋がる。
今の自動車事情は、売れ行きから税制までシビアな段階を迎えているから、バランスの良い開発を行って欲しい。
この記事にコメントする