“軽自動車の技術”を数多く流用し、商品力を高めたトヨタ 新型「パッソ」&ダイハツ 新型「ブーン」(3/4)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:トヨタ自動車株式会社/ダイハツ工業株式会社
“軽自動車の技術”を数多く流用し、商品力を高めたトヨタ 新型「パッソ」&ダイハツ 新型「ブーン」
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機能の充実により重量増ながら、同等の軽量化により、先代型の車両重量を踏襲

ダイハツ 新型ブーンダイハツ 新型ブーン

エンジンは前述のように直列3気筒1リッターの1KR-FE型を搭載した。最高出力は69馬力(6000回転)、最大トルクは9.4kg-m(4400回転)だから、発生回転数まで含めて先代型と同じ数値になる。

それでも吸気ポートを2本にして、燃料を噴射するインジェクターも分割させた。排出ガスを吸気に再循環させて燃焼温度を下げるEGRも改善を受け、圧縮比を従来の11.5から新型では12.5に向上させた。

これらの工夫により、2WDのJC08モード燃費は先代型が27.6km/L、新型は28km/Lになって若干ではあるが向上した。

車両重量は2WDが910kg。機能の充実によって重量を50kgほど増やしながら、同等の軽量化をすることで、先代型の車両重量を踏襲した。

ちなみにスズキ「イグニス」のハイブリッドMXやMZも、JC08モード燃費が28km/L(低価格のハイブリッドMGは28.8km/L)になる。イグニスの車両重量はMXやMZでも880kgと軽く、簡易型のハイブリッドも備わるから、1.2リッターエンジンを搭載しながら燃費数値は新型パッソ&ブーンと同等だ。

JC08モード燃費が28km/Lになるので、新型パッソ&ブーンの2WDは、平成32年度燃費基準プラス10%を達成した。エコカー減税により、購入時に納める自動車取得税が80%、同重量税が75%軽減される。

軽自動車同様、足回りにスタビライザーを装着し、走行安定性が向上

ダイハツ 新型ブーン

プラットフォームは先代型と共通で、サスペンションもフロント側が独立式のストラット、リア側は車軸式のトーションビームで変更はないが、2WDは前後の足まわりにスタビライザー(ボディの傾き方などを制御する棒状のパーツ)を備える。リア側はトーションビームだから構造自体にスタビライザー効果があるが、別途装着することで、さらに細かなチューニングを行った。

この前後にスタビライザーを装着する方法も、ダイハツの軽自動車と同じだ。先代パッソ&ブーンは前後ともにスタビライザーを備えず、走行安定性に不満を伴ったから、軽自動車の手法を活用して改善した。

このほかボディ本体にも改良を施し、振動やノイズを軽減させている。ステアリングの支持剛性を高め、操舵に対する反応も正確にした。先代型の欠点とされた運転感覚の質を高めている。

低価格で充実した安全装備

ダイハツ 新型ブーンダイハツ 新型ブーン

装備では安全面に注目したい。緊急自動ブレーキは、ダイハツの軽自動車と同じスマートアシストIIを装着した。赤外線レーザーと単眼カメラを併用して、車両に対しては時速100kmを上限に警報を発する。時速50km以下なら緊急自動ブレーキの作動も可能だ。

カメラを併用するから歩行者の検知も可能になり、時速50km以下で警報を発する。このほか車線逸脱の警報機能なども設けた。

スマートアシストIIの装着に伴う価格上昇は6万4800円だから、軽自動車と同じだ。複数のセンサーを備えた緊急自動ブレーキとしては割安になる。

サイド&カーテンエアバッグは4万9680円でオプション設定とした。ヴィッツの4万3200円に比べると少し高いが、先代型よりは8000円ほど安い。設計の新しいコンパクトカーとあって、安全装備を低価格で充実できることもメリットだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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