トヨタ 86オーナーが語る!「中古86」の魅力【購入前編】(1/3)
- 筆者: 永田 恵一
中古としての「トヨタ 86」の魅力を探る!
今回、マツダ デミオディーゼルのMT車を新車で購入し1年間所有した筆者が後継車として選んだマイカー、「中古のトヨタ 86」についての魅力を、購入記という形で綴っていきたいと思います。
なぜ“中古”なのかという点については「新車が買えないから」というのも事実ですが、「中古の86そのものに魅力があった」という理由も決して小さくありません。中古86の魅力については後述したいと思いますので、まずはトヨタ 86というクルマについておさらいしておきましょう。
86開発のきっかけは「若者の車離れ」
86は、2012年4月に登場したFR(フロントエンジンリアドライブ)の小型スポーツカーです。
トヨタでは2007年にミッドシップオープンスポーツカーの「MR-S」が生産を終了し、スポーツカーがラインナップから姿を消してしまいましたが、「若者の車離れ」に危機感を持ったトヨタ社内でスポーツカーの必要性が再検討され、開発をスタート。
開発にあたっては「ボンネットと重心の低いスポーツカーを作りたかった、それには水平対向エンジンかロータリーエンジンしかない」という課題もあり、2008年に資本提携を結んでいるスバルとの共同開発(大まかにはデザイン関係はトヨタ、開発と生産はスバル)で、後のトヨタ86&スバルBRZになる「小型スポーツカー」の開発が発表、2009年の東京モーターショーにおいて「トヨタ FT-86」などのコンセプトカーを経て市販化されました。
トヨタ 86は、これまでのスポーツカーが「絶対的な速さ」を追及すべく過給機やハイグリップタイヤといったパーツで武装した結果、一般公道で運転する楽しさがスポイルされたりタイヤ代に代表されるランニングコストが高くついてしまいスポーツカーからファンが離れていたという側面にも着目し、そういった悪い流れを断ち切るべく比較的シンプルなメカニズムを持った小型スポーツカーとなっています。
足回りは、86とBRZでそれぞれ味付けが異なる
86のエンジンは、スバルの2リッター水平対向4気筒に直噴インジェクターに加えて通常のポート噴射用のインジェクターも持つトヨタの直噴技術D4-Sを盛り込んだFA20型(最高出力200馬力、最大トルク20.9kgm、ボア×ストロークは奇しくも86×86)を搭載。
トランスミッションは、MTはかつてトヨタ アルテッツァなどの日本車の小型FR車に広く使われていたアイシン製6速MTの大改良版を、ATはマークXなどのトヨタ車に搭載されるものに変速スピードをより素早くするなどの改良を加えた6速ATを搭載しています。
足回りも、スバル インプレッサと共通の形状となるフロント/ストラット、リア/ダブルウィッシュボーンというオーソドックスなサスペンション形式で、トヨタ86とスバルBRZで「FR車の大きな魅力であるドリフトがしやすい86、4WDをメインとするスバル車らしいグリップ志向のBRZ」という、2台には異なるサスペンションセッティングが与えられています。
スポーツカーには珍しく?86ではごく一般的なタイヤを装着
足回りといえば、普通車のタイヤは工場出荷だとその車に合わせた専用タイヤ(服で言えばオーダーメイドのようなもの)が装着されるのですが、トヨタ 86&スバル BRZは「タイヤを替えることで車の性格がまるで変わってしまうような、タイヤに頼った車にはしたくない」という、これまでには無かったユニークな思想で開発されており、新車装着タイヤは17インチが先代プリウスのミシュランプライマシーHP、16インチがインプレッサの横浜ゴムデシベルという、ごく一般的なタイヤが装着されているところも面白い点です。
また付け加えたいのはタイヤサイズで、最近のスポーツ系の車は相当の車好きの私でも聞きなれないサイズのタイヤが着いているケースが多いですが、86のタイヤは17インチが「215/45R17」、16インチも「205/55R16」という昔の車によく使われた、言い換えれば銘柄も多く、流通も多くて価格もお手頃なタイヤを使っているというのも、ハードに走ればタイヤ代もバカにならないこの手のスポーツカーにとってはとても有難いところであります。
この記事にコメントする