トヨタ SAI [2013年マイナーチェンジモデル] 新型車解説(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
ハイブリッドシステムは全車共通で、グレード構成はベーシックな「S」(321万円)。LEDフォグランプや車間距離制御の機能を持たないクルーズコントロールを加えた「S・Cパッケージ」(331万円)、SDナビ、電動チルト&テレスコピックステアリングを加えた「G」(382万円)、ミリ波レーダーを使ったプリクラッシュセーフティシステムと車間距離制御の可能なクルーズコントロール、レーンキーピングアシストなどを備えた「G・Aパッケージ」(421万円)という構成だ。
従来型の「S」グレードは347万円だったから新型では26万円の値下げと受け取られるが、カーナビが標準装着からオプション設定に変更された。ディスチャージヘッドランプはLEDに切り替わったが、ベーシックなクルーズコントロールが省かれているなど、割安にはなっていない。
SDナビを標準装着する上級グレードの「G」は、従来型が370万円で変更後は382万円。前述のようにディスチャージヘッドランプはLEDに変わったが、ハンドル操作に合わせて照射方向を変えるインテリジェントAFSは省かれた。12万円の値上げは、そのまま額面通りに受け取って良い。
買い得感が強まったとはいい難いが、ボディサイズと居住性で勝負
価格設定やグレード選びを従来型と比較すると、大きく変わったのは前述のように「S」グレードのナビがオプション設定になったこと。従来型の登場時点では、開発者から「カーナビの画面が遠いためにディーラーオプションでは対応できず、全車に標準装着した」と説明された。ただし価格が全般的に高まるので、今回はオプション設定にして安価なディーラーオプションにも対応している。
それでも価格が全般的に高めだから、買い得感が強まったとはいい難い。「G」グレードの価格は382万円だが、410万円でレクサス「HS250h」が用意され、後者にはパフォーマンスダンパー、インテリジェントAFSなどが標準装着される。内装の質も高く、ヘルプネットを含んだGリンクも3年間は無料で利用できる。
レクサスは店舗数が全国に170店舗弱ときわめて少ない。SAIを扱うトヨタの4系列は合計約4900店舗。「HS250h」はSAIに比べて購入しにくく、値引きもほとんど期待できないが、車両本体のみを見比べると意外に魅力的だ。
「HS250h」のほかにも同じ価格帯のハイブリッド車として「カムリ」が用意され、JC08モード燃費は23.4km/L。変更を受けたSAIと比較しても1km/L上まわる。
ほかのメーカーでは、30km/Lを達成したホンダ「アコードハイブリッド」も、衝突回避の支援機能を備えたEXが390万円。SAIの「G」グレード、あるいはプリクラッシュセーフティシステムなどを備えた「G・Aパッケージ」と同じ価格帯に位置する。
このように見てくると、300~400万円の価格帯にはハイブリッドセダンが多彩に揃う。その中でSAIの一番の魅力はボディサイズと居住性だ。全長が4695mm、全幅が1770mmの寸法は、今のセダンでは運転がしやすい部類に入る。室内も広い。
今までのSAIは販売や宣伝に力が入らず販売を低迷させたが、これからは大切に売って、1ヶ月に2000台の目標を達成して欲しい。
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