米ビジネスでも断然有利!日本勢が完全にリードする燃料電池車(FCV)が社会に必要なワケ(2/3)
- 筆者: 清水 和夫
カルフォルニア州は今後どのような戦略をとっていくのか
当面のゴールは2050年に州内を走る車の87%をZEVにすることだ。残り13%は先進的な内燃エンジン( Internal Combustion Engine=ICE)とコンベンショナルなハイブリッド(Hybrid Electric Vehicle=HEV)とプラグインハイブリッド(Plug-in Hybrid Electric Vehicle=PHEV)になる。
この目的を達成するには2040年には市販するクルマのほぼ100%がZEV車でなければならない。
また、87%のZEVのうち、半分強がFCV、残り3分の2がBEV、わずかな比率でPHEVだとする。ここからバックキャスティングで考えると、2025年までに新車販売台数の約15.4%をZEVやPHEVにしなければならない。
カリフォルニア州が2018年以降のZEV法の義務要件を厳しくしたのはこのためだ。
ZEV法がユニークなのはトラベル条項(Travel Provision)を設けている点だ。これはZEV法に同調する州のZEV台数を、カリフォルニア州のZEVとして加算できるというもの。
今のところ、西海岸のオレゴン州とニューヨーク州など合計11の州がZEVを推進している。2018年以降、航続距離100マイル以下のBEVにはこのトラベル条項が適用されず、クレジットも1.5ポイントになるが、350マイル以上の航続距離のFCVには条項が適用され、クレジットは4ポイント与えられる。
つまり、BEVよりもFCVに政府のインセンティブがしっかりと用意されているのだ。トヨタやGMのロビーイングが功を奏したのか、BEVは先進的な技術ではないと判断されている。テスラにとっては大きな脅威だろう。
また、2017年までの政策ではPHEVなどもZEVクレジットを取得できたが、2018年からはPHEVが対象外となった。これには欧州メーカーは驚いたはずだ。ZEVのためにPHEVを推進してきたのだが、そうはいかなくなった。
昨年のLAショーでVW/アウディが本気でFCVを発表し、今年のジュネーブショーでもモジュール式生産方式のFCVを開発すると発表した。
その裏にあるのが2018年以降のZEV法だ。PHEVの効果がなくなると、BEVとFCVしかクレジットを取得できなくなる。欧州勢はピンチなのだ。
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