トヨタがついに決断! マークX、SAIを廃止し、中型セダンを新型カムリに集約する理由

トヨタがついに決断! マークX、SAIを廃止し、中型セダンを新型カムリに集約する理由
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連休中にトヨタの地元から出た事実上のリーク!?

トヨタ 新型カムリ

トヨタがマークXとSAI(サイ)の生産を打ち切り、日本国内での中型セダンは今夏発売予定の新型カムリに集約。

日本が大型連休真っ只中の5月5日、トヨタの地元となる大手メディアがついに書いた。この話は昨年の中頃から、ネットや個人ブログなどでは噂になっていた。それが今回、連休中の記事露出をまるでトヨタ側が事前に承知していたかのように、中日新聞が書いたことで、三河地域の自動車業界関係者はこの話を“事実”として捉えた。

同記事にもあるように、日本国内市場は軽自動車とミニバンが主流となっており、過去10数年間でセダン市場は急速にしぼんでしまった。

そうした小さな市場に対して“ほぼ日本国内専用車”のガラパゴス車である、マークXやサイを存続させる理由は、トヨタ社内やトヨタグループ内、そして株主や投資家など対外向けにも、特に見つからない。

製造台数と販売台数で世界ワンツーである、中国とアメリカと同じく、日本でも中型セダンをカムリに集約させることは経営戦略上、当然の決断である。

アメリカではすでに、2017年モデルとして販売されている新型カムリは、長年に渡りアメリカ人にとっての“安全パイ”というイメージを刷新し、次世代を強く予感させるアグレッシブな風貌と内装、そして新開発の車体であるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)のよる鋭い走りへと大変革した。

さらに、この大変革の中で「これからの日本国内でのセダンをどう育てていくべきか?」という新型カムリ開発者の葛藤を強く感じる。マークIIからマークXへと引き継がれてきたトヨタのクルマ造りの“ド真ん中”を根底からやり直す、というトヨタとしての最大級のチャレンジなのだから。

>>歴代マークIIや新型カムリを写真でチェック(画像24枚)

マークXへの迷いとマークIIの熱き想い出

トヨタ マークX

これまで筆者は、トヨタが主催したマークXのメディア試乗会に何度も参加した。そこでエンジンやサスペンションなど、各方面のエンジニアと意見交換して感じたことがあった。それは、マークIIにおける成功体験だ。

かつて年間20万台級を販売した“トヨタの稼ぎ頭「マークII」”は、大衆車としての顔を持ちながら、最新技術や最新装備を施すという、トヨタのクルマ造りの集大成だった。

「マークXはマークIIの後継車ではない」との広報発表はあるものの、マークIIによる過去の成功体験を語るエンジニアが少なくなかった。その気持ち、筆者はとても良く分かる。なぜならば、高度経済成長期、筆者の横浜の実家には歴代マークIIがあったからだ。

昔のアルバムを開くと、1960年代後半、コロナマークIIと並んで映る筆者がいる。70年代に入り、第二世代のマークIIはヨーロピアン調の洒落たスタイリング。横浜トヨペットの店舗で見たその姿に、筆者の家族全員がほれ込んだ。セールスマンが納車した直後、東急田園都市線の青葉台駅の周辺で家族がテストドライブをした。

いまでは想像もつかなかいが、当時の青葉台は“ド田舎”で、駅前の東急ストアが入る公団住宅が目立つだけだった。駅前は区画整理が終わったばかりで、信号がない教習所のような雰囲気。そこでかなり長い時間、マークIIで走行した。リアシートはかなり狭かったがそんなことは気にならなかった。

当時としては画期的だった、8トラックの大型カセットテープが車載されており、トヨタから贈呈されたカセットに収録されたクラシックミュージックが車内に流れると、超高級なクルマに乗っているような歓びを感じた。

その後、十数年間に渡り、マイナーチェンジとフルモデルチェンジをするたびに、マークIIを買い替えていった。そこにはいつも、ユーザーの心を揺さぶる、新しい発見があった。マークIIとは、そういうクルマだった。

そうした想いがトヨタの開発者の中でも強過ぎたのではないだろうか。マークXという、マークという名称はついていても、マークIIの後継車にはなってはいけないという“迷い”がいつもつきまとっていたと思う。

元町工場で生産か、それとも…

レクサスLCを生産するトヨタ元町工場

前述の中日新聞の記事では、日本国内向けカムリの生産拠点ついては触れていない。

マークIIの場合は1968年9月から、そしてマークXの場合は2004年11月から、ともに愛知県豊田市のトヨタ元町工場で生産されていた。

元町工場については、本サイトで今年4月、新型レクサスLCの製造ラインについて記事化した際、工場の実態についてご紹介した。順当にいけば、日本市場向けの新型カムリの製造も、元町工場になる可能性が高い。

ただし、別の見方もできる。これはあくまでも筆者の空想だと思って読んで頂きたいが、仮にトヨタが米トランプ政権との関係をさらに強固にしたいのならば、ケンタッキー工場など、北米生産拠点から日本向けに新型カムリを輸出することもあり得る。

また、中国政府はいま、同国内での外資系メーカーの出資比率に対してなどの規制緩和を進める動きがある。その一環として中国からの周辺諸国への輸出についても自由度が上がると仮定すると、中国産カムリという選択肢もある。または、国内販売に頭打ち感があるタイからの輸入も候補に挙がるだろう。

いずれにせよ、新型カムリはもうじき日本で発売される、トヨタの世界戦略車であることに変わりはない。

日本市場でのトヨタ中型セダンが、新型カムリへと集約されることは、日本市場が世界に向けて門戸を開くことであり、日本のユーザーにとっても、クルマとの新たなる関係を考える大きな転機となるだろう。

[Text:桃田健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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