THE NEXTALK ~次の世界へ~ トヨタ 製品企画本部 ZJ チーフエンジニア 小鑓貞嘉 インタビュー(5/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦/トヨタ自動車
ランクルは地球上で最後に残るクルマであると認識して開発に挑むべし
小鑓貞嘉チーフエンジニアに、座右の銘は?と聞くと、自分の部屋に掲げているこの言葉としたいと語った。 「ランクルは地球上で最後に残るクルマであると認識して開発に挑むべし」
伝統の継承と時代への適合、それは、クルマを取り巻く環境の中で、自動車メーカーと技術者に厳しく迫ってくる時代だ。 ランドクルーザーの未来とは?
【小鑓貞嘉】いまの時代、環境と安全は、取り組まないわけにはいきません。実際、ランドクルーザーは、継承だけでなく、その時代時代に応じた、やるべきことを使命として取り組んでいます。たとえば、国内の4.6リッターV型8気筒のガソリンエンジンは、世界的に見ても環境性能に優れた作り方をしています。70系の4.5リッターV型8気筒のディーゼルエンジンも、オーストラリアへ入れているものは、そのカテゴリーでトップクラスの環境性能を達成しています。
一方で、ドラム缶から手漕ぎポンプで燃料を給油しているような場所で、直噴ディーゼルエンジンは使えません。すぐに走れなくなってしまうでしょう。ですから、ポート噴射のタフなディーゼルエンジンも残しておかなければなりません。世界は広いので、ランドクルーザーを求めている人たちのために、70系、200系、プラド、それぞれの車種構成を考えています。
事実、ランドクルーザーは歴代を振り返っても、常に先進技術を搭載してきました。10年を超えて作り続けるクルマですから、逆に、新型を出すときには一歩も二歩も先んじ、前へ進んだものでなければ、そのうちに時代遅れになってしまうからです。
チーフエンジニアとなって以後、小鑓貞嘉は世界40数か国以上を巡り、ランドクルーザーの顧客に直接会ってきた。そして、「このクルマがなかったら、我々の人生はない」という言葉も聞いたと語る。ランドクルーザーはそういうお客様の要望に応えていくクルマであり、技術者として、チーフエンジニアとして、「信念にブレはない」と話す。
ランドクルーザーは、KING OF 4WDの言葉をキャッチフレーズとしている。小鑓貞嘉チーフエンジニアの座右の銘、「ランクルは地球上で最後に残るクルマであると認識して開発に挑むべし」は、まさにKING OF 4WDの未来を指し示す言葉である。
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