トヨタ エスティマハイブリッド 試乗レポート(2012年マイナーチェンジモデル)/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
エスティマハイブリッドの操舵感はアル・ヴェルハイブリッドを上まわる!
試乗したのは、「エスティマハイブリッド アエラス レザーパッケージ」。
ハイブリッドのメカニズムは、トヨタ車に幅広く採用されるTHSII。直列4気筒の2.4リッターエンジンがベースで、駆動用モーターは前輪に加えて後輪にも備わる。ハイブリッドを生かし、モーター駆動の4WDを成立させた。
エンジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は190馬力。プラットフォームなどを含めて、基本的にはヴェルファイア&アルファードハイブリッドも同じ内容になる。
気になるハイブリッドのJC08モード燃費は「18km/L」。マイナーチェンジを受ける前と同じだ。
ちなみに2.4リッターのノーマルエンジン搭載車は、前輪駆動の2WDが「11.4km/L」、4WDが「11.2km/L」(双方ともに7人乗り)。ハイブリッドは約60%の燃費向上で、フリードハイブリッドの30%を大きく上まわる。高機能なハイブリッドを搭載するメリットだ。
動力性能は以前と同じだが、試乗しても力不足は感じない。
モーター駆動の併用で、加速力はノーマルエンジンの2.7リッタークラスに匹敵する。V型6気筒の3.5リッターエンジンほどパワフルではないが、アクセルを踏み込むと即座にモーターの駆動力が高まり、2.4リッターのノーマルエンジンに比べると余裕がある。
無段変速とあって、加速感も滑らか。動力性能が十分だからアクセルを深く踏み込む機会は少なく、エンジンノイズも耳障りには感じない。従来型と変わらないものの、2トン近い車両重量とのバランスを含め、過不足のない動力性能を発揮する。
走行安定性はどうだろう。
ハイブリッドに装着されるタイヤは、従来型と同じく17インチ(215/60R17)のみ。ノーマルタイプの2.4/3.5リッターと異なり、18インチは選択できない。
この運転感覚は、ハイブリッドやプラットフォームを共通化したヴェルファイア&アルファードハイブリッドとはかなり違う。
オートックワンに1月23日にアップされた「アルファード&ヴェルファイアハイブリッド 試乗レポート」、5月30日の「新車比較」でも述べたように、ヴェルファイア&アルファードハイブリッドの操舵感はかなり鈍い。
車両重量はエスティマハイブリッドを100kgは上まわり、天井も150mm近く高い。さらにタイヤサイズはエスティマハイブリッドの17インチに対して16インチ(215/65R16)になる。
後輪の安定性に不満はないが、コーナーでは外側に位置する前輪が歪みやすく、旋回軌跡を拡大しやすい。ボディの傾き方も大きめで、峠道などでは歯痒い気分になる。
その点、エスティマハイブリッドは違和感なく曲がり、ドライバーが走りのリズムを把握しやすい。ボディの傾き方も小さいから、運転中の不安も生じにくい。
ただし、すべての面でエスティマハイブリッドが勝るわけではない。
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