【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一(2/4)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部・茂呂幸正・トヨタ自動車
【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一
トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一さん トヨタ 14代目 新型 クラウン「ReBORN」 トヨタ 14代目 新型 クラウン発表会で話題を呼んだ「ピンクのクラウン」 トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル 専用設計のフロントフェンダー トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート専用フロントフェンダー トヨタ 14代目 新型 クラウン ボディサイドのフォルム トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル リアコンビランプ トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート リアコンビランプ トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル(左奥)/クラウン アスリート(手前・右) トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート トヨタ 新型クラウン チーフデザイナー 藤吉正一さんがオススメするボディカラー:ダークレッドマイカメタリック 画像ギャラリーはこちら

あのグリルは、クラウンの「王冠」をイメージしていた!

【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一

AO:しかもグリルの形はエンブレムの王冠をイメージしています。

F:開発の初期の段階で、顔全体を王冠にしたらどうだというアイディアが出ていたんです。そのうちに「王冠型グリル」と言うようになりました。ステレオタイプのイメージから脱却したいという気持ちを説明する際に、「王冠型で作りました」というのが伝わりやすい表現だったのです。

センターのエンブレムも、グリルに負けない存在感を与えるために、従来の2倍の大きさにしています。クラウンはドメスティックモデルで、独自のエンブレムを装着することが許されていますから、それを強くアピールしたいと思いました。

トヨタ 新型 クラウン イメージスケッチ 初期段階におけるキースケッチの1枚[資料提供:トヨタ自動車]デザイン検討中期におけるクラウン アスリート用フロントマスクのイメージスケッチ。このイラストでも王冠をモチーフにしたことがわかる。[資料提供:トヨタ自動車]検討初期段階における新型クラウンのイメージスケッチ群[資料提供:トヨタ自動車]トヨタ 新型 クラウン ロイヤル イメージスケッチ 最終案[資料提供:トヨタ自動車]トヨタ 新型 クラウン アスリート イメージスケッチ 最終案[資料提供:トヨタ自動車]
新型クラウンと、チーフデザイナーの藤吉氏トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート ヘッドランプ

AO:ヘッドランプも鋭い目つきに変わりましたね。

F:デザインのテーマに「鋭い目つき」があって、どう表現すべきか考えたときに、眉をひそめるのではなく、遠くを見据えるような緊張感を目指したのです。機能で形が変わることの具現化でもあります。AHS(アダプティブハイビームシステム)の採用で、ヘッドランプは2灯式になったので、ターンシグナルランプを内側に入れて4灯に見せましたが、従来は外側や下側に配していたポジションランプをライン状にして、ヘッドランプとターンランプの間の中央を貫通させています。眉毛と目玉の関係を表現して、立体的に見せたかったのです。

フェンダーを別デザインにしてまでキャラを明確にしたロイヤルとアスリート

トヨタ 14代目 新型 クラウン ロイヤル 専用設計のフロントフェンダートヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート専用フロントフェンダー

AO:今回はフロントフェンダーまで、ロイヤルとアスリートで変えました。

F:どこまで変えたらロイヤルとアスリートの違いが出るのかを議論していて、結果的にフェンダーとフードも別にしました。革新的な差別化を目指したのです。これならお客さんにとっても変えるメリットがあるという判断です。ロイヤルとアスリートが、お互いに違う方向性を持ちつつ、同じクラウンであるということで、ブランドの厚みが生まれるのではないかと考えています。この部分も「もっとやろう」というトヨタらしさが出た結果だと思います。

AO:コスト的には不利になりますが。

F:会社としては英断だったでしょう。でもケチなことばかり言っていたら、いいモノはできませんし、お客さんにメッセージが届きません。お客さんの期待を超えるモノを、リスクを承知で送り出せるかどうかが大切です。

デザインに期待されることは、驚きや感動を生み出すことです。豊田章男社長は「もっとやれ」と明快に言ってくれます。

ここ数年、数を追うあまり、目が及ばなかった部分はあったのかもしれません。でも社長は今、お金儲けしようなんて言っていません。「お客さんのために何ができるか」を考える会社になりたいと言っています。結果的にそれが数につながればいいと。生産技術や販売部門を含めて、クルマ作りに対する取り組みが変わってきたと感じています。

プロポーションの中に筋肉が見え隠れ

トヨタ 14代目 新型 クラウン アスリート リアビュー5代目 クラウン[1974-1979]

AO:ボディサイドではウインドー後端をキックアップさせたことが目立ちます。

F:たしかにここ何代かはストレートでしたが、5代目の4ドアピラードハードトップでキックアップを採用したことがあります。

プロポーションの中には筋肉が隠れていて、フロントフェンダーへと続く長い筋肉と、リアの盛り上がった筋肉がつながる部分のくびれがキックなのです。ただあまりキックさせるとクラウンでなくなってしまいます。水平基調を醸しつつ、筋肉があることを感じさせるデザインです。

最近のトレンドはウエッジシェイプにして、ボディに厚みを持たせ、薄いキャビンが載るデザインですが、今回は軸を水平に戻したことで、窓の丈は旧型より長くなっています。

フロントピラー付け根の位置も後ろに下げて、視界確保にこだわりました。ウエストラインが水平のほうが、駐車がしやすいですし。そういう部分にもこだわったのです。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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