トヨタ 新型クラウンVSメルセデス・ベンツ Eクラス どっちが買い!?徹底比較(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
【トヨタ新型クラウン vs メルセデス・ベンツ Eクラス ~デザイン対決~】
まずはボディサイズだが、全長は新型クラウンが25mm長い。全幅はE250が55mm上まわる。全高はE250が10mmほど高い。それでもサイズは同等。最小回転半径は、新型クラウンが5.2m、E250が5.3mだ。
ボディサイズがほぼ同じなのに、イメージの点ではE250が大きく感じられる。理由はデザインだろう。E250のフロントマスクには、メルセデス・ベンツの伝統として大型のメッキグリルが備わり、横長のデザインがワイド感を強調している。ボディサイドも鋭角的に仕上げた。
対する新型クラウンは現行型でフロントマスクを斬新な印象に改めたが、ブラックのグリルは縦長にも見える。ボディサイドを含めて塊感はあるが、E250ほど伸びやかではない。もっとも、外観は見る人の好みによって評価が変わる。
内装の造り込みや質感は互角だ。両車ともインパネは水平基調でデザインされ、機能的に仕上げた。
ATレバーは、クラウンはセンターコンソールに備わる一般的な方式だが、E250はハンドルの脇に装着された小さなスイッチで機能を選ぶ。マニュアルによる変速操作は、ハンドルのパドルスイッチで行う仕組みだ。
カーナビはクラウンはタッチパネル式だが、E250は円形の「コマンド・コントローラー」で操作。ATレバーを含め、クラウンが保守的で馴染みやすく、E250は先進的に仕上げた。優劣は付けられない。
【トヨタ新型クラウン vs メルセデス・ベンツ Eクラス ~居住性対決~】
居住性はどうか。フロントシートは、両車で座り心地がかなり違う。新型クラウンは腰の近辺は少し硬めだが、全体的に体の沈み方が大きめ。柔軟な座り心地に仕上げた。E250は新型クラウンに比べるとシート全体が硬い。リラックス感覚は乏しいが、着座姿勢は安定する。
リアシートも同様。新型クラウンのリアシートは座面の造りが柔軟で、日本のユーザーにとっては馴染みやすい。E250は新型クラウンに比べて頭上の空間に余裕を持たせたが、着座位置は低めで膝が持ち上がる。この姿勢に合わせて座面の前方を持ち上げたから、体がシートから離れる心配はないが、小柄な同乗者は大腿部を押された感覚に陥りやすい。
足元の空間は両車ともに同等。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先には握りコブシ2つ半の余裕がある。ボディサイズと空間効率は同程度だが、シートの造りは前後席ともに指向性が異なる。
このあたりは日本車とドイツ車という、両車の市場性、使われ方を反映させている。日本の道路環境は走行速度も低く、極端な長距離移動の機会も少ない。そこで新型クラウンのシートは、ゆったりとくつろげるタイプになった。
E250の場合は、ドイツ車とあって走行速度が全般的に高く、長距離を移動する機会も多い。そこでドライバーはもちろん、同乗者にも背筋を伸ばした正確な座り方を求めている。乗車中の疲労を抑え、万一の時にはシートベルトを的確に作動させるためだ。
安全意識はE250の方が高いが、リアシートは乗員を拘束する度合いが少し強すぎる印象を受ける。意図は理解できるが、乗員への接し方をもっと優しくしても良いだろう。新型クラウンについては、バックレストの下側、腰の当たる部分をもう少ししっかりと造り込むと良い。
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