【DESIGNER’S ROOM】トヨタ 新型 クラウン デザイナーインタビュー/トヨタデザイン部 グループ長 藤吉 正一(3/4)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:オートックワン編集部・茂呂幸正・トヨタ自動車
クラウンならではの要件を満たしながらもスポーティなフォルムを実現
AO:リアはクラウンとしてはかなり絞り込まれている印象を受けます。
F:絞り込んであるように見せているのです。前後フェンダー間のパネルが、少し内側にくびれていて、それが後輪のところで一度全幅に戻り、また絞り込んでいるので、そう見えるのです。
ただオーナーさんのコメントでは、友達といっしょにゴルフに行くという方がやはり多かったので、ゴルフバッグを4セット積めることはマストでした。しかも今回はハイブリッドでも4個積めるように工夫しています。だから絞り込んでいても、リッドの開口幅は維持しています。ゴルフバッグ積み降ろしのテストは10回以上繰り返しました。このあたりがクラウンらしさではないでしょうか。
リアランプの細部にまで宿るこだわり
AO:リアコンビランプについて工夫した点を教えてください。
F:ロイヤルは赤い部分をすべてLED化しました。その上で光輝部分とそれ以外の部分のメリハリを出して、鳥が翼を広げたような雰囲気を出しました。
これを表現するために、リフレクターをバンパーに移動させるとともに、ウインカーとバックアップランプを下に収めて、赤と白というシンプルなコンビネーションにしています。
一方のアスリートは、旧型に続いて丸形を採用しています。86もそうですが、トヨタのスポーツモデルは丸型でアグレッシブさを表現しているモデルがいくつかあります。ただ今回は上端を斜めにカットして、鷹や鷲など猛禽類の鋭い眼光を表現しました。
インテリアにも見え隠れする伝統と革新の融合
AO:インテリアは別の方が担当されたとのことですが、エクステリアデザインと関連している部分はあるのでしょうか。
F:Aピラーを立てたことに合わせて、インパネ上面のラインを緩くカーブさせました。
クルマというのは左右に揺れながら走るものですが、このラインを直線にすると、揺れが大きく感じるのです。でもカーブしていれば揺れは目立ちません。
造形的なテーマでは、包む、重なる、表裏など、日本の伝統的なテーマを取り入れながら、マルチオペレーションタッチを採用することで、トヨタ車でいちばん多いんじゃないかと言われていたスイッチ類を整理できました。伝統と革新をうまく融合させたと思っています。
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