トヨタ 新型 オーリス 120T(1.2ターボ) 公道試乗レポート/渡辺陽一郎(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也
気になる1.2リッター直噴ターボを公道チェック!
まずは最も気になる1.2リッターターボ「120T」の動力性能をチェックする。最高出力は116馬力(5200~5600回転)、最大トルクは18.9kg-m(1500~4000回転)。1.8リッターを積んだ「RS」の144馬力(6200回転)/18.4kg-m(3800回転)と比較して、最大トルクは同等だ。
そこで低速域で運転すると、1500回転以下では駆動力(トルク)が低下する。この傾向はフォルクスワーゲンの1.2/1.4リッターターボ、マツダ車に幅広く採用されるクリーンディーゼルターボにも見られるターボ車特有の欠点だ。
もっともアクセルペダルを少し踏み増せば、CVT(無段変速AT)がギヤ比を滑らかに変えて、最大トルクを発生させる1500回転以上の回転域に入る。巡航中にエンジン回転が下がった時はターボ車であることを感じるが、市街地でエンジン回転と速度の上下動が大きい時は、ほとんど意識させない。だから何の予備知識も持たずに運転を開始して、「あっ、これはターボ車だね」とスグに気付いたとすれば、エンジン特性に対して敏感な人だと思う。
小排気量ターボ、実はCVTとの相性が抜群だった
動力性能の数値は前述のように1.8リッタークラスだが、運転すると回転域で印象が変わる。
2000~3000回転付近でアクセルペダルを少し踏み増した時は、2.3リッタークラスに匹敵する余裕があった。回転数は高くないが、トルクは相応に発生しているから、アクセル操作に応じて速度を確実に高める。
このエンジン特性はCVTとも相性が良い。ノーマルタイプの小排気量ガソリンエンジンでは、一般的に3000回転以下ではトルクが十分に高まらず、CVTが自動的にギヤ比を下げてエンジン回転を上昇させようとする。有段式ATでは、トルクコンバーターが同様の作用をすることもある。となれば車速の上昇以上にエンジン回転が高まり、ユーザーによっては違和感を抱いてしまう。
その点、オーリスの1.2リッターターボは低回転域から相応の駆動力を発生するため、CVTのギヤ比をあまり変えずに速度を上昇させている。過度に変速を控えると、エンジンの高効率な回転域を使いにくくなって燃費などを悪化させるが、オーリスはチューニングを上手に行ったから自然な運転感覚と両立できた。
[1.2ターボはスポーツエンジンではない!?・・・次ページへ続く]
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