トヨタ アクア 新型車解説 ~40km/LのコンパクトHVの全貌~(1/3)
- 筆者: 松下 宏
使いやすくて楽しいハイブリッド
“燃費性能に優れたヴィッツ級ハイブリッド車”として早くから話題になっていたトヨタの新型コンパクトカーが、「アクア」として12月26日発売された。
全長が3995mmと4mを切るコンパクトさで、全幅も1695mmと5ナンバーサイズの枠内にきっちり収めている。文字通り手頃なサイズのハイブリッド車といえる。
世界一の低燃費、使いやすく楽しいハイブリッド、コンパクトなボディの中に広い室内、手頃な価格設定などが特徴で、コンパクトカーの新しい基準を作るクルマである。
外観デザインはきりりとした引き締まった感じを与える仕上がりだ。コンパクトカーというと、とかく可愛らしさを追求したデザインにしがちだが、トヨタ アクアは必ずしも女性ユーザーだけを狙ったクルマではないので、可愛らしさとは違った個性が表現されている。
低めの全高と後方に向かってなだらかに傾斜するルーフラインは空力特性に配慮したものだが、全高を抑えながらも室内空間はコンパクトカーとは思えないくらいの余裕がある。
インテリアは薄いインパネを左右に広げたデザインとすることで、室内空間を広く見せるように工夫されたほか、インパネとセンターコンソールやドアトリムとの間にスペースを確保することで、広がり感を感じさせる作りになっている。
オプションのTFTマルチインフォメーションディスプレーには、瞬間燃費や平均燃費など、さまざまな情報が表示される仕組みだ。
同様にオプション装備を選択するとタッチトレーサーディスプレーのコントローラーが付いたプリウスと同じタイプのステアリングホイールが装着される。
基本プラットホームはヴィッツ系のものだが、ホイールベースの長さはセダンボディのベルタと同じでヴィッツよりもやや長い。その分だけ前後席の居住空間やラゲッジスペースに余裕が生まれている。
室内の各所に豊富な収納スペースが確保されるのは、今どきのコンパクトカーのお約束ともいえるものだ。
アクアのボディカラーには10色が用意され、インテリアはグレードによる設定となるが、4種類が用意されている。Sではフレッシュグリーンかクールブルーのどちらかを選べる。
トヨタならではのハイブリッド
ハイブリッドシステムはトヨタ独自のTHS-Ⅱ。コンパクトカーながら2モーター方式の本格的なシステムを採用することで、優れた燃費性能を確保した。
搭載エンジンはアトキンソンサイクルを採用した1.5Lの1NZ-FXE型で、これに電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、基本的には旧型プリウスのものを流用したと考えたら良い。
もちろんハイブリッドシステムのさまざまな部品や制御は大幅に新しくなっている。電池はニッケル水素タイプだが、小型・軽量化が進められているし、電流を変換するインバーターや電圧を変更するコンバーターなども同様。さらにモーターは新設計のものを採用した。
最高出力54kW/最大トルク111N・mを発生するエンジンに、最高出力45kW/最大トルク169N・mを発生する電気モーターを組み合わせることで、余裕の走りを実現するとともに、JC08燃費モードで35.4km/L、10・15モード燃費では最高で40.0km/Lを達成している。
走行モードはECOドライブモードやEVドライブモードなどが設定されていて、状況や好みに応じて燃費優先やモーターのみでの走行を選択できる。
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