日本版コンシューマレポート-トヨタ アクア ユーザー試乗レビュー-(4/5)
- 筆者: 桃田 健史
厳しい「アクア」インテリアに関するユーザー評価
インテリアの評価は、(コンパクトカーとして)至って標準的だ。その中でも比較的評価が低いのは、「質感」と「後席の乗り降り」について。
アクアの後席について、トヨタは設計段階で居住性・乗降性の確保を精一杯やっている。このサイズ・このデザインでは「後席の乗り降り」は妥協点なのだと思う。
だが「質感」については、同アンケートで最も回答数が多かった四十代が「3点以下」という厳しい評価を下した。「プリウス」など、他のトヨタ/レクサス系ハイブリッドカーとどうしても比較してしまうから、厳しい目になるのかもしれない。
開発者目線で言うと、インテリアの部材や加工は、ほんの少しランクを上げるだけで原価に大きく響く。低価格ハイブリッドカーが売りの「アクア」にとって、インテリアの質感の「落としどころ」は難しいのだと思う。
「試乗後に購入しない」の回答のなかで、質感を指摘した声が数件あった。これらは、走りの評価と合わせて、本ページの下で紹介する。
ただし、筆者がユーザーの立場としてディーラーで聞いてみた限り、ユーザーからのインテリアの質感へのネガティブコメントは少ないようだ。また、トヨタカローラ栃木・林さんは「インテリアはシンプルで良い、という声が多い」という。
では、走りの評価はどうか?
以下がコンシューマレポートに投稿して頂いた34人の試乗後の感想だ。
ユーザーも実感しているアクアの「低重心」
上記のグラフを読み解くと、クルマの大きさ感については「それなり」。ただ、乗ってみると想像以上に視界が広い。「ハイブリッドカー」アクアの期待値として、動力性能についてはある程度意見が分かれる、といった感じだ。
「アクア」は10.7秒という0~100km/h加速に加えて、追い越し加速(40~70km/h)が3.6秒と俊敏だが、試乗時にそのパフォーマンスを十分に体験するのは難しいという事情もある。
また、走りのキビキビ感は、ハイブリッドシステム重量がプリウス比で42kg減、しかも低重心という「アクア」の真骨頂。それをユーザーは実感している。
その反面、「実際に乗ってみると、車高がかなり低く感じられ、車内でやや圧迫感があるという方もおられる」(トヨタカローラ栃木・林さん)との声もある。
だが、これは低重心コンパクトのパッケージングを極めた結果、当然直面する課題であり、けっしてネガティブ要因ではない。
また、車内の静粛性について、「静かだ」が50%、「音が大きい」が15%と合格点だ。しかし、試乗後のユーザーコメントの中には、静粛性、さらに乗り心地について厳しい意見もある。インテリアへの意見も含めて、以下に紹介する。
コンシューマレポート アクア試乗後のコメント
・やはりサイズに比例するように上質感が足りません。足回りで十分に衝撃の吸収が出来ていないため、やや安っぽい乗り心地になってしまっているのが残念です。ロードノイズも大きめの印象でした(神奈川県tfkさん)
・加速に不満、室内のクオリティー質感下げすぎ(この価格ならもっと素材を上質なものにしてほしい)。ハイブリッド車といえ、現実的な総支払い額は200万以上になってしまう。この価格ならヴィッツのRSやG’sを買った方が幸せになれると確信した(群馬県イシクラさん)
プリウスとは異なる方向性を目指す「アクア」
トヨタにおける「アクア」の狙い、それは
「次の10年を見据えたクルマ」
「従来のハイブリッド車のイメージを脱却するクルマ」
そして、
「より多くのお客様に向けたクルマ」
だ。今回の各調査では「アクア」は幅広い層に受け入れられているようだが、女性層への集中が目立つなど、まだ商品が市場で落ち着いていない、という印象だ。
買い替え車についても、軽自動車、SUV、さらにはランサーエボリューションまで様々。特に、都市圏以外で乗用車を複数所有する地域では、手持ちのうちの1台を買い替えるため、下取り車はバラエティに富んでいるようだ。
最近、原油価格が上昇し、ガソリン価格も再び上がってきた。そうしたなか、ガソリンエンジン搭載の乗用車として“燃費世界ナンバー1”を誇る「アクア」は、「プリウス」とは別分野のハイブリッド車として、幅広い層に売れ続ける可能性がある。
この記事にコメントする