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試乗レポート 2014/3/11 18:56

テスラ モデルS 氷上試乗レポート/川端由美(2/2)

関連: テスラ Text: 川端 由美
テスラ モデルS 氷上試乗レポート/川端由美

拍子抜けするほど当たり前にスタート

テスラ モデルS

冒頭で「予約が好調」とは言ったものの、実はテスラ モデルSの日本での価格は未発表だった。

この試乗会の直前、60kWhのバッテリを積む「60」が823万円~と発表されて、存外、手頃な価格設定に驚いた。なお、85kWhのバッテリを搭載し約502kmの巡航距離を誇る「85」が933万円~、バッテリ搭載量と巡航距離は「85」と同じだが、最高出力410psで加速性能を高めたハイパフォーマンス版の「P85」が1081万8000円~と、BMW「5シリーズ」やメルセデス・ベンツ の「Eクラス」あたりを仮想敵とした価格設定だ。日本のチャデモ方式にも対応するため、自宅での充電に加えて、国内に張り巡らされた急速充電網も利用できる。

テスラ モデルS
テスラ モデルSテスラ モデルS

テストに供されたのは、最上級モデルの「P85」。本社からの“ボーナス”というスノータイヤは、「ピレリ・ソットゼロ245/45R19」となかなか立派だ。

ドアに近づくと、ドアハンドルがすーっとせり出して、ドライバーを室内にいざなう。スポーティなシートに滑り込み、エンジン……ではなく、システムをスタートさせる。始動性が悪くなるのでは?という心配をよそに、拍子抜けするほど当たり前にスタートした。

はじめは、ESCをオンにしたままで慣熟走行を行なう。すでに何人かがテストを終えて、氷が露出してスリップしやすい路面と、雪が表面に残っていてグリップしやすい路面でμ(摩擦係数)の差が大きい。スピードを落としてステアリングを切っていく勘所をつかんだら、いよいよ、17インチディスプレー上でESCをオフにしての走行を試す。

反時計回りにコースを進んでいくと、タイトなコーナーが現れる。侵入に備えて十分にスピードを落とし、ブレーキで曲がるきっかけを作ったのちに、姿勢変化が遅れてオツリが来ないように、素早くかつ的確な操舵を心がける。路面とタイヤの設置状況にあわせた絶妙なアクセル操作でドリフトに持ち込もうと試みたが、これがなかなか難しい。

アクセル・ペダルをオンにした瞬間、電気モーターから強大なトルクがデリバリーされる

テスラ モデルSテスラ モデルS

私の運転スキルの不足もさることながら、EVならではの応答性の高さゆえに、ドリフトに持ち込むには繊細なアクセルワークが必要とされる。

電気モーターの方がエンジン車より応答性が鋭く、加速性能が高いのは日常の走行における利点だが、反面、アクセル・ペダルをオンにした瞬間に423ps/600Nmの大出力を誇る電気モーターから強大なトルクがデリバリーされるため、低μ路ではアクセル操作を繊細に行わないと、トラクションが一気にかかってズリズリとリアを出して滑ってしまう。2トン超えの重量ということもあって、滑り出したらグリップが戻るまで、いかなる操作も徒労に終わる。

大出力のEVらしいトルクの出方に身体が慣れたころを見計らって、再び、挑戦。

十分なブレーキングと姿勢移動に操舵を加えて、フロントノーズを曲げるきっかけをつかんだら、アクセルペダルを微妙に調整しながらドリフトに持ち込む。FRゆえに、4WDほど限界は高くなく、FFほど簡単に曲がれるわけではない。が、そのぶん、操れたときの歓びは大きい。

とっかえひっかえドライバーチェンジをしながらテスラ モデルSで4時間ほど氷上を走り回っても、バッテリが音を上げることはなかった。

テスラ モデルSテスラ モデルS

以前、フリーモント工場を訪ねた折、CTOのJB.ストローベル氏が、「バッテリの温度モニターをシビアに行って、適正な範囲で運用している」と言っていた言葉を思い出した。寒冷地に強い「モデルS」だが、雪国のユーザー心理としては、4WDの設定が欲しいところだろう。

ただし、次なる「モデルX」には4WDシステムの投入がアナウンスされているだけに、その課題もまもなく解決しそうだ。

2012年の終わりに米『モータートレンド』誌のカー・オブ・ザ・イヤーを「モデルS」が受賞し、コンベンショナルな自動車と戦って、EVやエコカーという但し書きなしで自動車として最高の評価を得たことに驚いた。そして実際に、日本でも貸し出して長距離を走り、好き放題に走った実走行でも400kmは十分に走り、エコ・ドライブをすれば500kmもそう難しくはないことを知った。

そして今回、氷上でも「モデルS」は、“EVだから”という言い訳を必要とせずに、自動車として十分な実力を発揮していた。こと「モデルS」に関しては、EVは未来のクルマではなく、ごく現実的な選択肢になりつつあることを思い知った。

筆者: 川端 由美
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