クルマもIT化へ!ソフトウェアダウンロードで簡単に自動運転車に!未来のカタチが現実に(3/3)
- 筆者: 清水 和夫
- カメラマン:茂呂幸正
ポルシェが注力している電気駆動技術開発は背景にテスラの存在?
さて、モデルSのテストドライブを行った2月中旬は一部路面に圧雪が残り、日陰にはシャーベット状の雪が固まっていた。クローズドのテストコースでは、思い切ってハンドルを切り、ペダルをグッと踏んでみる。モデルSはフロントとリアにそれぞれモーターを持っており、トルクは独立して電子制御される。
従来の四駆車や全輪駆動車のように機械的なトルク配分を必要としないため、前輪が引っ張っているのか、後輪が押しているのか、よく分からない。つまり、四駆としての完成度が高いのだ。ミシュランのスタッドレスタイヤとも相性が良く、トラクションがガッツリ効いている手ごたえも感じられた。
モデルSはEVならではの価値を雄弁に語ってくれたが、依然として課題が残るのは充電だ。テスラに搭載されているのはご存知、パナソニックのリチウムイオン電池。モデルSの航続距離はNEDC(新欧州ドライビングサイクル)方式で491kmと、他社のEVに比べて長い。使用条件にもよるが、東京から軽井沢までの200km弱は問題なく走行できる。
急速充電スポットの拡充と充電技術の進化はEV普及の必須条件
しかし、EVはいずれどこかで充電しなければならない。モデルSは急速充電規格チャデモに対応するアダプタを搭載しているものの、急速充電が可能な充電スポットは限られている。普通充電では相当に時間がかかり、せっかちな私としてはこの待ち時間がストレスだ。急速充電スポットの拡充と充電技術の進化は、やはりEV普及の必須条件と言えるだろう。
とはいえ、これだけ気持ちよく走れると、ポルシェパナメーラと比較してもいいように思う。最近ポルシェは電気駆動車の技術開発に注力し、パナメーラも普通のハイブリッド車はやめてプラグインハイブリッド車にシフトしている。背景にはテスラの存在があるのかもしれない。
ポルシェのV8のNAエンジンを積んだパナメーラやGTSで走るのは気持ちいい。しかし、テスラも気持ちがよかった。こうして時代とともに技術が進展すると、いつまでもEVを食わず嫌いするのもよくない。そんなことを思いながら、軽井沢を後にした。
[Text:清水和夫]
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