スズキ 新型SX4 S-CROSS試乗&解説|逆輸入のコンパクトSUVは日本市場で戦えるのか?(1/2)

スズキ 新型SX4 S-CROSS試乗&解説|逆輸入のコンパクトSUVは日本市場で戦えるのか?
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■スズキのクロスオーバーSUV、SX4 S-CROSSがマイナーチェンジ

マイナーチェンジや一部改良を行うと、機能や装備の充実と併せてフロントマスクに変更を加えることが多い。クルマの売れ行きが伸びていた時代は、マイナーチェンジしたことを示す目的で変更を施すことも多かったが、今はそれで注目度が高まることはない。新鮮味よりも洗練度に重点が置かれ、バンパーの形状を補正して視覚的な安定感を強めるような変更が増えた。

ところが2017年6月15日に発表(発売は7月6日)されたスズキSX4 S-クロスの一部改良では、フロントマスクを大幅に変えている。

■新型スズキ SX4 S-CROSSの外装デザインがB○W風に大幅変更!?

新型SX4 S-クロスの外観を見ると、フロントグリルが拡大されてフルメッキ化され、縦状のスリットが入る。豪華で存在感の強い表情に一変した。BMW風でもあり、読者諸兄が街中で新型SX4 S-クロスを見かけた時は、視線が真っ先にグリルへ向かうだろう。

ヘッドランプは以前はディスチャージだったが、改良後はLEDに変わってランプの形状も変更された。ボンネットも同様だ。豪華さや存在感と併せてボディをワイドに見せる効果があり、実際の全幅も改良前に比べると20mm広がって1785mmとなった。

ちなみに改良前のSX4 S-クロスの外観は全体的にシンプルで、グリルの形状は左右方向にスリットが入る一般的な形状だった。色彩もブラックで、一部にメッキを使うもののスポーティな雰囲気を感じさせた。

そこで実車を改めて眺めると、ボディサイドは改良前と同じくシンプルな形状だから、フロントマスクだけが妙に重く感じる。顔立ちを大幅に変えると、ボディ全体の造形バランスが崩れるのは避けられないようだ。

現行SX4 S-クロスは、2015年2月に発売された。日本仕様の生産はハンガリーにある「マジャールスズキ」が行うスズキ製の輸入車だ。主に欧州向けに開発されたが、今では中国でも生産と販売を行う。今回の変更は、分かりやすい豪華さを求める中国市場を意識したものでもあるだろう。

>>新型スズキ SX4 S-CROSS 気になる外装デザインの詳細を画像でチェック

■新型SX4 S-CROSSの走りは欧州向き?結果的に燃費は悪化したが・・・

新型SX4Scrossフロント
新型SX4Scross 1.6L DOHCエンジ

クルマの性格は、車名が示すようにコンパクトなクロスオーバータイプのSUVだ。全幅は前述の1785mmで少しワイドだが、全長は4300mmに収まる。同カテゴリのライバル車である、ホンダ ヴェゼルとほぼ同じ大きさだ。

基本となるメカニズムやプラットフォームは、同じマジャールスズキが製造する2015年10月に発売されたスズキ エスクードと共通だ。エンジンは直列4気筒1.6リッターを搭載し、トランスミッションがCVT(無段変速AT)から6速ATに変更となった。マイナーチェンジ後のトランスミッションは、後発のエスクードに合わせている。

エンジン性能は最高出力が117馬力(6000回転)、最大トルクは15.4kg-m(4400回転)で、マイナーチェンジ前あるいはエスクードと等しいが、6速ATのギヤ比はエスクードと若干異なる。最終減速比はエスクード1.6の3.502に対して3.683にローギヤード化された。SX4 S-クロスは加速性能を重視していることが、数値から読み取ることが出来る。

【スズキ SX4 S-CROSSの動力性能やいかに】

そこで、マイナーチェンジを受けた新型SX4 S-クロスの2WDを試乗すると、動力性能はコンパクトSUVの平均水準であった。車両重量は1220kgだから、1.6リッターエンジンには負荷が少し大きい。しかもエンジンの性格が高回転指向で、4000回転を超えてから加速が活発になる。

トランスミッションをCVTから6速ATに変更したことも影響している。以前のCVTでは、アクセルペダルを多少なりとも踏み増せば、変速が無段階に行われて駆動力を高めた。それが6速ATでは、エンジン回転が下がっていると、アクセルペダルを穏やかに踏み増した程度では速度上昇が鈍い。そこでアクセルペダルをさらに深く踏み込むと、ATがキックダウン(低いギヤに切り替えること)を行って、加速力は高まるが変速ショックも生じてしまう。

ATが有段式になり、エンジン回転が先に高まって速度が後から上昇するCVTの特性は抑えられたが、車両重量の重さを意識させる場面は増えた。それでも最終減速比の見直しで、エスクードに比べると加速の緩慢さは少し改善されている。コンパクトSUVとしては、不満のない動力性能といえるだろう。

この6速ATのメリットは、主に高速走行で感じられる。CVTに比べて速度の微調節が行いやすく、一定の速度を保ちやすいことも特徴だ。日本よりも欧州の交通環境に適したATといえそうだ。エンジンノイズは特に小さくないが、音質が耳障りにならないから、不快な印象は抑えられている。

【トランスミッションの変更で燃費が悪化したが・・・?】

JC08モード燃費は、前輪駆動の2WDが16.2km/L、4WDは15.2km/Lだ。改良前の18.2km/L・17.2km/Lに比べると11~12%悪化した。実用燃費を重視して計測を行ったこともあると思われるが、それ以上にトランスミッションをCVTから6速ATに変更した影響が大きい。CVTには効率の優れた回転域を積極的に活用することで、燃費を向上させる効果もあるからだ。

つまり6速ATとCVTの機能は一長一短だが、日本車は主に燃費向上のために、コンパクトな車種の大半がCVTを搭載する。その意味で6速ATの採用は、輸入車であるSX4 S-クロスの個性になり得るだろう。それでも燃費は大切だから、せめてアイドリングストップは装着して欲しい。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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