スズキ SX4 S-CROSS 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也/茂呂幸正
このクラスでは、広い室内に操作性の高いスイッチ類
内装は平凡なデザインだが、メーターの視認性やスイッチ類の操作性は良い。ATは無段変速式のCVTで、レバーは一般的なスライド式。ハンドルにはパドルシフトが装着され、CVTでも疑似的なマニュアル変速が行える。
シートの見栄えも普通だが、前席は欧州車風だ。座面に体が沈む量は少ないが、底突き感はなく快適。背もたれの下側も適度に硬く、高さも十分に確保した。肩まわりまで含めてホールド性は優れている。
後席のスペースは、コンパクトなSUVでは広い部類に入る。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ分だ。これは十分な余裕だが、前席の座面の後端が、後席側へ少し張り出す。足首に干渉しやすいため、膝回りは十分だが足元空間をもう少し広げて欲しい。
また後席は床と座面の間隔を十分に確保して空間効率を高めたが、小柄な同乗者が座ると大腿部を押された印象になる。購入するなら着座姿勢を確認したい。
プラットフォームは先代SX4と基本的には共通で、サスペンションもフロント側がストラットの独立式、リア側はトーションビームの車軸式になる。
先代型は操舵感が少し曖昧で、ハンドルを切り込むと、ワンテンポ遅れて車両の向きが変わり始める特性があった。現行型はこのあたりを大幅に改善して、違和感なく運転できる。
背景にあるのは足まわりの刷新だ。先代型に比べると、サスペンションを取り付けるフレーム断面を拡大し、横剛性を70%高めた。ピストンロッド径の拡大、トーションビームの見直しなども行っている。
これによって足まわりが的確に伸縮して、操舵に対する車両の動きも正確になった。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)を100mm伸ばし、2600mmにしたことも走行安定性の向上に役立っている。
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