スズキ MRワゴン 試乗レポート

  • 筆者: 西沢 ひろみ
  • カメラマン:小宮岩男
スズキ MRワゴン 試乗レポート
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パッケージングを最重視したMRワゴン。ライバルはeKワゴン、ターゲットは女性ユーザーだ。

99年の東京モーターショーに参考出品されたMRワゴンは、驚きの居住性をモノフォルムデザインで包み込んだ、スズキが提案する次世代の軽自動車像だ。予想以上の好反響により市販化が決まり、2年後の01年11月についに発表となった。

ショーモデルはミッドシップ駆動を採用していたが、FF駆動化にあたり、衝突安全を始めとする数々のハードルがあったそうだ。画して生まれたMRワゴンは、親しみやすいタマゴ型フォルムを実現。インテリアはダッシュパネルに凹凸をつけることで、前方視界が見づらい印象を解消している。ボディカラーに合わせて、グレー/ベージュの内装色、ブルー/オレンジのシート色が用意されたのも見逃せないところだ。

軽自動車に精通したスズキならではの、熟成の高さがはっきり伝わる仕上がりだ。

初めて試乗したMRワゴンの第一印象は熟成の高さだ。最新のメカニズムや特別なセッティングが行なわれたわけではないが、すべてにおいてワンランク上に仕上がっていた。特に、これまでライバル車にやや劣っていたエンジン音は、静粛性、遮音ともに力が注がれ、トップレベルに踊り出たといっていい。ワゴンRに比べると面白味は薄いけれども、MRワゴンが求めた大人のテイストはしっかり感じられるはずだ。

エンジンは自然吸気がオールアルミDOHC VVTを搭載。勾配のきつい上り坂で多少かったるさを伴うが、スムーズな加速感が全域で味わえる。タウン派として、扱いやすさを最優先していることがよくわかる。さらに好感度が得られたのが、オールアルミDOHC Mターボだ。常用回転域で得られるトルクが、気持ちの良さと乗りやすさにつながっている。

安定志向の足回りは、市街地から高速クルージングまで快適な乗り心地が得られるものの、挙動にメリハリが感じられない。おそらく燃費志向のタイヤを履いているせいだろう。本来のトレース性やしっかり感はタイヤの変更で得られそうな気がする。

大きく座り心地のいいシートと、広々居住空間が、居心地のいい室内を生んでいる。

室内に乗り込むと、まず居心地の良さに驚かされる。ワゴンRより背が低いとはいえ、159mmの全高が余裕のヘッドクリアランスを生んでいる。室内有効長 1655mmが誇る前後のフットスペースも十分だ。しかも後席には105mmのシートスライドを標準装備。乗る人の体型、荷物の量によってアレンジできるのがうれしい。大きく座り心地のいいシートも、快適空間に大きく貢献しているだろう。

バックドアは、ハンドルを握るだけで開閉できる欧州タイプのプルアップ式を採用。おかげで荷物の積み降ろしがグンと楽になった。ワゴンR譲りの、ワンタッチダブルフォールディング機構もラゲッジの拡大が簡単操作でできる。軽初のアイテムは、メーターパネル全体が白色LEDで自発光する「盤面発光メーター」。クールな青地が用いられているが、シート地に合わせてコ-ディネイトしたらもっとお洒落だった気がする。

21世紀、軽自動車のカタチは、背高ノッポからモノフォルムへと移り変わる予感がする。

従来の感覚でいうと、MRワゴンにはかなりの開発費がかけられた気がする。静粛性&遮音、快適な乗り心地、排出ガスの低減、燃費の向上、安全性の向上。すべてのレベルアップが図られていたからだ。なおかつ、スズキとしては画期的にオシャレなインテリアも採用している。それだけMRワゴンのマーケットに期待をしていると考えられる。これは月販目標台数を1万台に設定していることでもよくわかる。もちろん18日間で2万台を受注したeKワゴンも気になる存在だが、やはり一番懸念されるのはワゴンRとの競合だろう。MRワゴンの販売動向は、今後の軽自動車のカタチを占う意味でも目が離せない。

ところで、MRワゴンは日産へOEM供給されることが決定している。そのクルマは、意匠を変更してモコという名で02年春には街中を走ることになる。軽自動車のジャンルへの、日産の初の参入にも注目したい。

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筆者西沢 ひろみ
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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