スズキ スイフト 試乗レポート

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:原田淳
スズキ スイフト 試乗レポート
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日常の使い勝手と燃費性能を向上したマイナーチェンジ

フロントスタイル
リアスタイルフロントビュー

1983年に登場したカルタスの後を受け、2000年に登場したスイフト。女性が運転しやすいコンパクトカーとしてデビューしたが、存在感的には正直に言って、軽自動車を得意とするスズキが送り出すコンパクトカーという感じだった。残念ながら「泣く子(79万5千円)も黙るスイフト」という価格的キャッチフレーズがいちばん印象に残っているくらいだったりする。

それが2004年11月に新型スイフトとなって、爆発的な人気を博し、一気に並み居るコンパクトカーのライバル達と肩を並べる存在感のあるクルマにまで成長したのである!そしていまやハンドリング性能はコンパクトカーの中でナンバー1と囁かれるくらいにまでなったのだ。

その実力のせいなのか、新型スイフトの販売比率はコンパクトカーにしては珍しく男性7割:女性3割と、メチャクチャ男性比率が高い。だからと言うわけではないのだろうが、今回のマイナーチェンジは、日常生活の使い勝手と燃費性能を向上させるのがいちばんの狙いだという。

パッと見、見分けが付かないほどのかなりゆるやかなMC感

フロントランプ
ラゲッジインパネ

外観的にはフロント&リアバンパーの変更で全長が60mm長くなったくらいのもの。グレードによっては、LEDサイドターンランプ付きドアミラーが採用されているといった具合で、パッと見、見分けが付かないほどのかなりゆるやかなMC感だが、それはスイフトのデザインが好評を博していた証拠とも言えるもの。急激な変化を・・・という声もあるにはあったそうだが、既存ファンを裏切らないようにとの配慮が勝ったようだ。

ユーティリティ的には、後席のダブルフォールディングは意外と必要ないというユーザーの声を反映させ、背もたれが倒れるだけのワンアクションシングルタイプとなった。そこにラゲッジボードが追加されたことで開口部段差をなくすこともでき、結果として使い勝手がよくなったと言える。そのラゲッジボードもそのままストンと後ろに落としこんでも、折り畳んでも使えるというフレキシブル性の高いものとなっているのがイイ。

さて、というワケで合わせてMCされた後席シートだが、シングルフォールディングになったことでシートクッションの厚みがかなり増している。しかしかなり柔らかい座り心地なので、ワインディングなどでは体の動き度合いが大きくなり少々キツイ。このあたりはもう少しホールド感を出したほうがよさそうだ。フロントシートは小さなドット柄風のものからラインに近いデザインにシート表皮が変更され、ふっくら上品な感じが演出されている。

実に元気いっぱいな1.2Lオール新開発エンジン

エンジン
走行メーター

今回のMCでいちばん大きなポイントとなるのが、K12B型 1.2Lオール新開発エンジンにCVTを組み合わせた新パワーユニットの搭載だ。排出ガス基準4つ星、燃費基準平成22年度基準+10%を達成と環境性能もバッチリである。しかしラインアップ的には、従来通りの1.3L&1.5Lも残されているので、2WD 1.3LのATモデルが新パワーユニットに置き換えられたということになるのだ。

さて、この新型エンジン。実に元気いっぱいである。なんたって排気量は100cc小さくなったものの、パワーは-1kWとしかダウンしていないのだ。その秘密はパワーユニット自体の実力もさることながら、軽さにあると言っていいだろう。車両重量-20kgの軽量化はさまざまな箇所に効くのである。事実走りの楽しさはグーンとアップした。軽量化により実質的なボディ剛性がUPし、さらに頭周りが軽くなったことで回頭性も向上。パワーステアリングのフィーリングも相乗効果でよくなり、足回りは変えていないという言葉が信じがたいほど、しっかりテイストの走り味となった。

そして言うまでもなく燃費も向上していて、17km/l→20.5km/lとクラストップレベルに追従するくらいの性能を実現。しかしあえてクラストップを目指さなかったのには「燃費に特化すると楽しくなくなる」という理念から。確かにスイフトは走りのよさが大きな魅力のクルマである。そのバランスを図ったということなのだろう。

熱いクルマが欲しい人は絶対見逃せない1台

走行
フロントシートフロントスタイル

スイフトのスポーツグレードに位置するスイフトスポーツ。しかし単なるスポーツグレードというよりも、別枠のホットハッチとしてこちらも大ヒットとなった。今回、その定評のある走りにさらに磨きを掛けるために、日本より1年間発売を遅らせたことで、じっくりと開発期間が取られた欧州仕様のスイフトスポーツのイイトコ取りが施行されたのである。

こちらもMCの焦点はグッと絞られ、外観の変更はターンランプが組み込まれたドアミラーのみ。インテリアもレカロシートバージョンのシート色が、先代のレッドからモノトーン系に変わったくらいのものに抑えられた。

そのぶん変更されたのが中味である。まずひとつ目はトランスミッション。1速のギア比を上げてファイナルのギア比を下げることで、すべてのギアでよりクロスレシオ化が図られている。1~2速のクロス幅を特に大きくすることで、スタート時のトルクが稼げるようになったため加速感がグッと高まり、より力強いスタートダッシュが決まるようになった。またMTモデルはレッドゾーンも7000rpm→7500rpmに引き上げられ、より高回転域まで引っ張れるようになり、ファンドライブの楽しみがウンと増している。

そして二つ目は足回り。サスペンションやブッシュをすべて欧州の3ドアスポーツ仕様にし、より路面のホールド感を高めたセッティングが採用されているのだ。結果、格段に足が動いているのが感じられるようになり結構振り回せてしまうが、かなり頑張ったところで標準装備となったESPが介入してくることもなく、相当遊べるクルマに仕上がっていて、かなりの好感触。先代がジャジャ馬だったとしたら、新型スイフトで上品なスポーティ仕様となっていたのが、お上品さや乗り心地の辺りの柔らかさがちょっと抑えられた代わりに、欧州ライバルに引けを取らないホットハッチになったという感じなのだ。コストパフォーマンス的に考えると、さらなる高ポイント。熱いクルマが欲しい人には絶対見逃せない1台である。

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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