ワゴンRの進化が止まらない！／スズキ 新型 ワゴンR[S-エネチャージターボ／S-エネチャージ] 試乗レポート(4/4)

1リッターエンジン並みの余裕「ワゴンRスティングレー T」

一方、「ワゴンRスティングレー T」が搭載するターボの動力性能は大幅に力強い。最高出力は64馬力(6000回転)、最大トルクは9.7kg-m(3000回転)で、後者の数値はノーマルエンジンの152％に高まるからだ。発生回転数も実用域の3000回転だから、2500回転付近から過給効果が感じられる。

2000回転前後では駆動力が下がるが、軽自動車のギヤ比はローギヤードだから、巡航中にアクセルペダルを踏み増すと2500回転付近に達する。そのためにアクセル操作と加速の立ち上がりに時間差が生じるターボのクセをほとんど感じない。1リッタークラスのノーマルエンジンを積んでいる感覚で運転できる。

走行安定性に不満はないが、標準ボディのFZにもワゴンRスティングレーと同様のフロントスタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)を装着して欲しい。ワゴンRの操舵感は意外に機敏で、スタビライザーを装着しないとボディの傾き方が少し唐突な印象になるからだ。

ノーマルエンジン車にもスタビライザーを装着して欲しいもうひとつの理由とは

また標準ボディのFZはスタビライザーを備えずに走行安定性を確保しようとしたので、足まわりの設定がスティングレーに比べて少し硬い。14インチタイヤ(155/65R14)は、転がり抵抗を抑えるために指定空気圧が280kPaと高めになり、乗り心地が硬いことも気になる。

その点でターボのスティングレーTは、15インチタイヤ(165／55R15)を装着するが、指定空気圧は240kPaに少し下がる。スタビライザーの装着で足まわりの設定も異なり、乗り心地は硬めではあるが引き締まり感が伴って不快な印象を抑えた。

FZは標準ボディといえどもフロントマスクにメッキグリルが装着され、外観を上質な印象に仕上げた。ならば足まわりもグレードアップして、さらに満足感を高めて欲しい。

不振だとはいうけれど・・・やっぱり売れてる軽自動車

それにしても軽自動車の進化は著しい。燃費性能を急速に向上させた弊害で、一時期は乗り心地がかなり悪化したが、新しいプラットフォームを備えた「アルト・ラパン」などは快適性も高めている。

増税の影響で軽自動車の販売が不振という報道もあるが、直近の2015年9月の販売実績を見ると、新車販売されたクルマの36％が軽自動車であった。商品力が向上して好調に売れるのは、当然の結果だろう。それだけにワゴンRも、乗り心地の向上、サイド＆カーテンエアバッグの設定など、これからも改善を続けて欲しい。

[レポート：渡辺陽一郎／Photo：島村栄二]

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スズキ 新型 ワゴンRスティングレー「T」[S-エネチャージターボ・FF]　主要諸元

全長x全幅x全高：3395x1475x1660mm／ホイールベース：2425mm／車両重量：820kg／駆動方式：前輪駆動(FF)／乗車定員：4名／エンジン種類：インタークーラー付ターボ 直列3気筒 DOHC 12V VVT ガソリンエンジン[＋Sエネチャージ]／総排気量：658cc／エンジン最高出力：64ps(47kW)/6000rpm／エンジン最大トルク：9.7kg-m(95N･m)/3000rpm／モーター種類：直流同期電動機／動力用主電池：リチウムイオン電池／モーター最高出力：2.2ps(1.6kW)/1000rpm／モーター最大トルク：4.1kg-m(40N･m)/100rpm／トランスミッション：インパネシフトCVT(自動無段変速機)／燃料消費率：28.0km/L[JC08モード燃費]／タイヤサイズ：165/55R15 75V／メーカー希望小売価格：1,614,600円[消費税込み]