スズキ 新型 ソリオ DJE(デュアルジェットエンジン搭載車) 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・オートックワン編集部
コンパクトながらきわめて広い室内空間
ソリオの居住空間はきわめて広い。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ4つ弱。Lサイズセダンでも2つ、あるいは2つ半なので、前後方向には十分すぎるほどの余裕がある。スライド位置を前方に寄せれば、車内後部の荷室も拡大しやすい。スズキは空間効率の優れた軽自動車を造り慣れているので、ソリオもボディサイズの割に車内が広い。
シートの座り心地もサポート性が優れ、不満はないが、リアシートには注意が必要だ。空間効率を高める目的で床と座面の間隔が大きく、座面の前側を厚く盛り上げたから、小柄な同乗者が座ると膝の裏側を押された感覚になりやすい。大人4名の乗車に適したコンパクトカーだが、購入するならリアシートの造りを見ておく必要があるだろう。
インパネなどの内装は上質に造り込まれ、見栄えはスイフトに近い。
「ソリオ S-DJE」はちょっとお高めだが、選ぶ価値アリ
試乗した「ソリオ S-DJE」の車両価格は176万6100円。1.2リッターエンジンを積んだコンパクトカーの中では高めの設定だが、エアロパーツ、アルミホイール、ディスチャージヘッドランプ、キーレスプッシュスタートなどを備え、装備の充実度は2リッターエンジンを積んだミニバンのエアロパーツ装着車に匹敵する。
ノーマルエンジンの「S」と「S-DJE」の車両価格を比べると、S-DJEが13万1250円高い。S-DJEには横滑り防止装置のESPも加わるから、デュアルジェットエンジンと低燃費技術の採用に伴う実質的な価格上昇は約10万円だ。そしてJC08モード燃費は、Sが20.6km/Lで、S-DJEは前述のように25.4km/Lになる。
そこで実用燃費がJC08モードの85%、レギュラーガソリンの価格が1リッター当たり160円として1km当たりのガソリン代を計算すると、Sが9.1円、S-DJEは7.4円だ。1万kmに換算すれば、Sが9万1000円でS-DJEが7万4000円になる。
となれば10万円の実質価格差がガソリン代の差額によって埋まるのは、6万kmを走った頃になる。1年間の走行距離が1万km以上のユーザーであれば、選ぶ価値は高いだろう。DJE搭載車にはより効率のよいアイドリングストップシステムとエネチャージが備わるため、渋滞の多い地域のユーザーであれば、ガソリン代の節約効果はさらに向上する。なお横滑り防止装置は、DJE搭載車でないと装着されないことにも注意したい。
なお、LEDイルミネーションや本革巻きのステアリングホイールが不要なら、164万6400円のX-DJEを選ぶ手もある。
ただしディスチャージヘッドランプまで省かれるのは辛いところ。これはオプションで用意して欲しい。また、ワゴンRやスペーシアに装着されるレーダーブレーキサポートの設定も急務になっている。
ダウンサイジングユーザーにも、アップサイジングユーザーにもオススメ
それにしてもソリオは、運転がしやすく、なおかつ居住性や積載性の優れたコンパクトカーを求めるユーザーにはピッタリだ。デュアルジェットエンジンの搭載により、選ぶ価値をさらに高めた。
例えばミニバンからソリオDJEへとダウンサイジングすれば、運転のしやすさと低燃費を実感できる。背の高い軽自動車からアップサイジングすれば、優れた動力性能と走行安定性にメリットを見い出すだろう。代替えの対象としても選びやすく、その意味では日本車ラインナップの中核に位置するクルマともいえる。
[レポート:渡辺陽一郎]
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