スズキ アルトラパン 試乗レポート

  • 筆者: 西沢 ひろみ
  • カメラマン:原田淳
スズキ アルトラパン 試乗レポート
うさぎエンブレム リアスタイリング インパネ 試乗 エンジン フロントシート リアシート ラゲッジスペース ラゲッジアレンジ フロントスタイリング 画像ギャラリーはこちら

保守的なクルマ作りを続けてきたスズキから、新路線の洒落た軽自動車が飛び出した。

うさぎエンブレムリアスタイリング

女性をターゲットにしたスズキの新しい軽自動車が『アルトラパン』。そのかわいらしい箱型フォルムは、フランス語で「うさぎ」のネーミングにピッタリのカタチだ。色とりどりの12色のボディカラーには、ネイビーブルーとアプリコットのインテリアカラーを配色。平面基調のインパネは、デザインと素材感に個性が伺える。目を引くのはフロントグリルのエンブレム。スズキのSマークにウサギがアレンジされ、キュートなイメージをかもし出している。

ラパンはアルトの派生機種の位置付けであり、その昔に注目を浴びたパイクカー的な印象を受けるかもしれない。けれども、このクルマは最初から市販化が計画されていた2BOXセダン。若者たちのライフスタイルを演出するために、身の回りの雑貨やアクセサリー感覚で作られたクルマなのだ。

元気のいい加速感は行動派にピッタリ。静粛性の高さも魅力のひとつだ。

インパネエンジン

運転席に座ると、大きな丸いスピードメーターが目に飛び込む。その右側にはアナログの時計を配置。ホワイトのインパネには、ところどころにメタリックがあしらわれ、未来感覚とレトロな雰囲気をミックスした不思議な空間を作りあげている。

エンジンはVVT付のK6A型オールアルミDOHCを搭載。発進から軽快な加速が味わえるのは、ワゴンRと同等で、MRワゴンよりも70kg軽い 780kgの車重のおかげだろう。扱いやすい低速トルク、全域での静粛性、気持ちのいい車速の伸び、タウンユースでの乗りやすさは、熟成に熟成が重ねられた技術の賜物といっていい。「優-低排出ガス」認定の取得も見逃せないところ。苦手な領域は、高速域での追い越し加速。高速クルージングは制限速度内でのんびり走りたい。

足回りは乗り心地重視だが、主流のミニミニバンに比べて車高が低いおかげで安定感が得られる。素直なハンドリングも好感が持てるし、パワステを始めとする操作系の重さもちょうどいい。中身は確かにスズキの軽自動車そのものだけど、ラパンの走りはさらに磨きがかかっていた。

ゆとりの居住空間と居心地の良さが、細部にまでこだわったデザインで包み込まれている。

フロントシートリアシート

前後左右にゆとりのある新しい居住空間。これが2BOXセダンとして生まれたラパンの目指したパッケージングだ。その工夫は高めのヒップポイント、直立に近いピラーと窓ガラス、できるだけ後方にレイアウトしたリアシートなど。これが1255mmの室内高と、FF軽自動車でクラストップの室内有効長 1655mmを実現したのだ。実際に座ってみると、開放感と広々感は数値以上。後席のフットスペースも十分にある。その分ラゲッジのアレンジメントは、スズキらしからぬフロアに段差が残るもの。だけどこの手法は、後席の居住性を優先しているGMと共同開発で誕生したクルーズと同じだ。

好感が持てたのは、肌触りと座り心地がとっても気持ちいいシート&シート地。素材選びに力を注いだだけの仕上がりといえる。ここまでデザインと質感に凝ったのだから、コラムシフトではなくオシャレなインパネシフトを採用して欲しかった。

ユーザーの8割が国産車からの乗り換え。2ドアモデルは02年秋以降に導入の予定だ。

ラゲッジスペースラゲッジアレンジ

ラパンが初めて表舞台に立ったのは、参考出品された昨年秋の東京モーターショー。ご法度と言われてきた“女性向け”を前面に出したにもかかわらず、開催期間中、予想以上の反響が寄せられたそうだ。そして年明けのオートサロンでは、カスタマイズモデルを披露する。うってかわってボーイッシュなラパンもかなり評判が高かった。おそらく、レトロチックな雰囲気は年配のユーザーをも魅了するだろう。

軽自動車は、21世紀の新たなる戦国時代に突入した。王者に君臨するスズキは、背高ノッポのワゴンRを筆頭に、小さなミニバンのMRワゴン、Kei、ジムニー、長い歴史を誇るアルト、エブリイワゴンにラパンを加え、ラインアップの充実を図る。追従するホンダ、ダイハツを引き離しにかかったのだ。

開発陣の熱意が詰まったラパン。幅広いユーザーに注目を浴びているラパン。スズキのヒット商品になる可能性は大だ。

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筆者西沢 ひろみ
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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