インドで”EVジムニー”の期待が高まる理由とは【デリーショー2018】

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:桃田 健史・古閑 章郎

eサバイバーに群がるインドのメディアたち

インドの首都ニューデリー郊外で開催された、2年に一度のモーターショー、インドオートエキスポ2018(デリーモーターショー2018)。

そこで大注目されたのが、スズキのEV四駆コンセプトモデル「e-サバイバー」だ。

「さあ、これがスズキの未来型EVだ!」というアナウンスと共に、メインステージの画面には四輪駆動EVのメカニズムがCGで写し出された。

そして、壇上でアンベールされたのが、あの「e-サバイバー」だった。

「e-サバイバー」は昨年秋の東京モーターショーで世界初披露され、日本メディアからは「ジムニーの将来構想を具現化したものではないか?」と話題になったクルマだ。

だが、パワーユニットがハイブリッドではなく、前後の車輪軸にそれぞれモーターを持つ完全なEV四駆という点で「早期の量産化は難しい。あくまでもデザインリサーチの領域では?」というのが、日本メディアにおける感想だった。

ところが、それがインドとなると、話は別だ。今回の「e-サバイバー」発表にインドメディアが群がったのには、明確な理由がある。

>>インドでも注目! 電気自動車版ジムニー”スズキ イー・サバイバー”をもっと見る[画像ギャラリー]

インド、2030年までに全需要の40%を完全EV化

e-サバイバーが注目される理由とは、インド政府が進めるEV政策に隠されている。

ここ1~2年で、世界各国でEVシフトの流れが表面化してきた。

その中でインドは2年ほど前から、一部の政府高官が「2030年までにインドで販売されるすべてのクルマをEV化する」という野心的な発言をした。

その後、政府関連機関がEVについての調査を行って結果、インド自動車工業会が2017年末に政府に対してEVに関する提言を取りまとめた。

それによると、2030年までに全体需要(全需)の40%をEV化する。また、2030年までにバスやタクシーなど公共機関は完全EV化する、という。

こうしたインド自動車業界での動きを受けて、今回のオートエクスポではインド地場メーカーのタタとマヒンドラ&マヒンドラはEVを全面に押し出した。それを受ける形で、インドで日系トップメーカーのマルチスズキが放った矢が「e-サバイバー」なのだ。

同車は、ファン・トゥ・ドライブのための高品質EVというイメージがある。

だが、もしかすると「2030年までに公共機関の完全EV化」という政府方針を考えると、商用車っぽい使い方での公共性を考慮したEVに「化ける」可能性も十分にある。これぞ、まさしく、日本で多くの人たちから愛されているジムニーの思想だ。例えば、山間部のパトロールカーとして、悪路での走破性に優れたEV四駆の需要があるかもしれない。

スズキブース、もう1台の「マルチ フューチャーS」も気になる!

それから今回もう1台、マルチスズキから気になるSUVコンセプト「マルチ フューチャーS」が登場した。

スズキとしては、ハイエンドなクロスオーバーSUVを意識した逸品だ。こちらは2019年頃の量産の可能性が高い。

気になるのがパワートレインだが、同車についてはEVではなく、ハイブリッド車が注目されている。これは、インドが2020年から全土で実施する予定の排気ガス規制「BS6」を意識したもの。EVに比べると、BS6への対応が自動車メーカーにとって当面の課題となる。

EVを含めてスズキの次世代車の主戦場もインドである。そうしたEVシフト大潮流を影響を受けて、日本でもEVジムニーが発売される日が来るのかもしれない。

[レポート:桃田健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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