スズキ 新型エブリイワゴン 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志/茂呂幸正
適度な緩さを伴って滑らかな加減速
エンジンは、エブリイワゴンの全車がターボを搭載する。車両重量が最も軽い仕様でも940kgに達し、ノーマルエンジンでは動力性能が不足するからだ。
先代型のエンジンはK6A型だったが、新型は「ワゴンRスティングレー」などと同じR06A型ターボを積む。最高出力は64馬力(6000回転)、最大トルクは9.7kg-m(3000回転)で、数値もワゴンRスティングレーなどと等しい。
運転するとボディが重いために加速力が十分とはいえないが、力不足も感じない。ATはエブリイバンには5速MTをベースにしたシングルクラッチの5速AGSを用意したが、ワゴンは従来型の4速ATだ。メカニズムは古いが、流体のトルクコンバーターを介して駆動力を伝えるから、加減速は適度な緩さを伴って滑らかだ。
エンジンの性格は実用回転域の駆動力を重視した軽自動車らしいものだが、4000回転を超えた領域の吹き上がりも良く、それなりに活発に走れる。
JC08モード燃費は、2WDが16.2km/L。先代型の13.8~14.4km/Lに比べると進歩したが、それでも燃費数値としてはヴォクシー&ノアのノーマルエンジン車と同等だ。アイドリングストップなどが付かないこともあり、燃料の消費量は多い。
意外にバランスが取れている走行安定性
軽商用車とそのワゴン仕様にとって、走りで最も難しいのが安定性だ。全幅が1475mm、全高は試乗したPZターボスペシャルハイルーフだと1910mm。ダイハツ「ウェイク」の1835mmを大幅に上まわる。高さが幅の1.3倍もあるから、安定しにくくなるのは当然だろう。
といったことを考えながらコーナリングやレーンチェンジを行うと、意外にバランスが取れている。巧みなのは、違和感を抱かせないギリギリのところまで、操舵に対する反応を鈍くしたことだ。要はハンドルを切った時に曲がりにくく、カーブに入れば旋回軌跡を拡大させやすくして、後輪の安定性を確保した。それでも不自然には感じない。
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