スズキ キャリイ 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)

スズキ キャリイ 試乗レポート/渡辺陽一郎
スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ スズキ キャリイ 画像ギャラリーはこちら

シングルクラッチ特有の違和感を制御した5AGS

スズキ キャリイスズキ キャリイ

さて、5AGSを搭載したキャリイの運転感覚はどうか。発売当初のup!で変速時のギクシャクした動きを経験していたから、相応の覚悟で発進したが、意外にも普通だ。従来のトルクコンバーター式AT、あるいはVWのDSGなど、2組のクラッチを使うATに比べると前後方向の揺れを感じるが、アクセル開度が大きくなければ違和感はほとんどない。

これはエンジンとクラッチの制御を巧みに行っているためだ。up!などの欧州車に比べると、半クラッチの状態を少し長く使う。巧みに滑らせるから、変速してクラッチが繋がる時のショックが小さい。変速に要する時間も適度で、5速MTの操作感覚に近付けた。

ギヤ比は1速がかなりローギヤードな設定だ。荷物を満載して坂道発進をする時などを想定している。そこでATレバーを左側に移してMモードを選び、レバーを手前に引くと、停車時でも2速に入る。2速でスタートして、慌ただしいギヤチェンジを避けることも可能にした。

その後の変速も、シングルクラッチを使ったATでは自然な印象。アクセルペダルを深く踏み込まなければ、Dレンジで走っても、変速時に前後方向に揺すられない。シフトアップするタイミングを見計らってアクセルペダルを少し緩める操作をすれば、さらに滑らかに変速できる。やや面倒だがマニュアル操作をすると、変速タイミングも自分で決められる。

このあたりの制御は、日本車ならではだろう。マニュアルトランスミッションが基本になる欧州と違って、トルクコンバーター式ATが古くから普及しているため、シングルクラッチ特有の違和感が問題になりやすい。そこで制御に気を使った。

軽トラックとして満足できる走行性能と乗り心地を備える

スズキ キャリイ
スズキ キャリイスズキ キャリイ

エンジンは実用回転域を重視したタイプで扱いやすい。最高出力は50馬力(5700回転)、最大トルクは6.4kg-m(3500回転)だから、市街地走行に適する。

車両重量は700kg。荷物を積んでいない状態であれば、スズキ「アルト」よりも少し軽く、動力性能はノーマルエンジンでも十分だ。

走行安定性と操舵感も、軽トラックとしては良好。荷物を積んでいない状態で運転する限り、安定性に不満を感じる場面はほとんどない。操舵感は安定性を確保するために鈍めの設定だが、違和感が生じない範囲に抑えた。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が1905mmと短いので、最小回転半径も3.6mと小さい。アルトやワゴンRが4.2~4.4mだから、キャリイの小回り性能は抜群だ。狭い裏道を直角に曲がる時も、スムーズに運転できる。

その一方で、ホイールベースが短いために前後方向の揺れは少し大きいが、タイヤが路面の上を細かく跳ねるような乗り心地の粗さは抑えた。軽トラックでは快適な部類に入る。

以上のようにキャリイは、軽トラックとして満足できる走行性能と乗り心地を備える。5AGSの制御も含めて、商品力を高めた。

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

スズキ キャリイの最新自動車ニュース/記事

スズキのカタログ情報 スズキ キャリイのカタログ情報 スズキの中古車検索 スズキ キャリイの中古車検索 スズキの記事一覧 スズキ キャリイの記事一覧 スズキのニュース一覧 スズキ キャリイのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる