スズキ 新型 アルト エコ[2013年モデル] 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/2)

スズキ 新型 アルト エコ[2013年モデル] 試乗レポート/渡辺陽一郎
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あれから2年、アルト エコがさらなる低燃費記録「33.0km/L」を更新した!

スズキ 新型 アルト エコ[2013年モデル]] 試乗レポート8

2011年、軽のベーシックモデル界では、第3のエコカー「ダイハツ ミラ イース」vs「スズキ アルト エコ」による超低燃費の争いが勃発した。30.0km/L vs 30.2km/Lで、第一戦は辛くもスズキが0.2km/Lの差で勝利している。あれから2年。2013年にスズキがまた一歩抜きん出た。ガソリンモデルNo.1の低燃費33.0km/Lという驚異の新記録を達成したのだ。燃費極めた最新モデルは、果たしてどんな乗り味なのだろうか。さっそく最新型「アルト エコ」の試乗し、その進化のほどをチェックする!

「どこまでエスカレートするのですか!?」と尋ねたくなるのが、軽自動車の燃費競争だ。

2011年9月、「ダイハツ ミラ イース」がJC08モード燃費を30km/Lまで高めて登場。「第3のエコカー」というCMコピーも奏効してヒット作になった。するとスズキは、同年11月に30.2km/Lの「アルト エコ」を発表。続く2012年9月登場のワゴンRは、「エネチャージ」で28.8km/Lを達成した。

ダイハツも負けられず、2012年12月には「ムーヴ」を大幅に刷新して29km/Lとなった。2013年2月には、スズキパレットの後継「スペーシア」が、スライドドアを備えた背の高いボディながらムーヴと同じ29km/Lをマーク。さらにアルト エコは、ワゴンR、スペーシアと受け継いだ低燃費技術を投入し、同じ2月に33km/Lへバージョンアップさせている。

以上のように、1年半くらいの間に、軽自動車の燃費性能は軒並み向上した。

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過度なダイエットは体を壊す!?

スズキ 新型 アルト エコ[2013年モデル]] 試乗レポート9

特にビックリさせるのがアルト エコ。2011年11月に登場した時のJC08モード燃費は「30.2km/L」というハンパな数字。ミラ イースに向けた対抗意識がムキ出しだった。燃料タンクの容量を30リッターから20リッターに減らし(タンクは変えずに間仕切りを付けた)、8kgに相当する見せかけの軽量化まで行っている。要は無理矢理ミラ イースの数値を上まわったのだが、1年少々の間にさらに10%近くも向上させたのだからスゴイ。

そこまで燃費性能は進化するものなのか!?

パレットとスペーシアを比べれば燃費数値は31%の上乗せで、アルト エコも4速ATのFやG(21.8km/L)と比べれば51%も優れている。10年前の車種に比較すると、何と70~90%の向上だ。

ここまで燃費競争がエスカレートすると、走行安定性や乗り心地に対する悪影響が心配される。人間が過度なダイエットによって健康を害するのと同じで、クルマもさまざまな機能の集合体。従来と同等の運動をさせながら、燃焼させるエネルギーの量を極端に減らすとバランスを崩しかねない。

そこで今回のアルト エコの試乗は、「燃費競争の弊害」も視野に入れながら行った。

スズキ独自の「エネチャージ」を採用

スズキ 新型 アルト エコ[2013年モデル]] 試乗レポート7

まずは進化したアルト エコの内容だが、ワゴンRやスペーシアと同様の「エネチャージ」を用いる。リチウムイオン電池や効率を高めたオルタネーター(発電機)を採用し、発電は減速時を中心に行う。

アイドリングストップも前出の2車種と同様、時速13km以下になるとエンジンが停止するタイプ。アイドリングストップの作動時間を長引かせた。エアコンには、蓄冷材を使ってエンジン停止中でも車内に冷気を送れる「エコクール」を採用する。

さらにスペーシアから実用化された技術として、バルブを駆動するタイミングチェーンの幅を狭めた。CVT(無段変速AT)の副変速機は、なるべくハイギアを長く使うことでエンジン回転の上昇を抑え、吸排気バルブの開閉タイミングを制御するVVTの作動も見直した。

軽量化も徹底している。サスペンションには高張力鋼板を採用し、後輪のブレーキドラムはサイズを小さくしている。その結果、車両重量は従来型よりも20kg軽い710kgに。スズキの軽自動車が採用してきた低燃費技術を結集させ、33km/LのJC08モード燃費を達成している。燃料タンクの容量は、従来と同じく20リッターだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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