スバル 新型WRX S4・新型WRX STI 新型車解説/マリオ高野(2/3)

スバル 新型WRX S4・新型WRX STI 新型車解説/マリオ高野
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インテリアの〝WRXらしさ〟はシートにあり

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内装に関しても、できる限りレヴォーグとは違うクルマに見えるように意識して、WRXらしいスポーティな雰囲気となるよう細部が詰められています。レヴォーグと同じく、質感はG4とは大きな差がつけられていますが、それでも、レヴォーグとは外観ほどには違うクルマに見えないというのが正直なところ。

しかし〝WRXらしさ〟を感じさせる決定的な違いはシートにありました。

初代WRXから続く伝統のひとつでもあるセミバケットタイプのシートを採用していますが、座った瞬間からやる気を起こさせる背中と腰の密着感と、過度にホールドしすぎない塩梅の良さはWRXならではです。

先代モデルではレカロ社との共同開発品がオプション設定されたりしましたが、今回の新型は純スバル製。身体の支え方や圧力の分散のさせ方を入念に研究し、WRXらしいホールド性を確保しながら、衝突された時の衝撃を吸収するために、衝突の際には身体をシートの中に潜り込ませるような工夫が凝らされております。

新型では安全性の社内基準を高くしたので、自社開発シートのみとしているのです。さらに、後席の造型もWRX専用開発で、一般的なセダンとは大きく異なるサポート性が与えられております。

シャシー性能の向上によって、レスポンスがよりシャープに

スバル 新型WRX STI

パワートレーンについては、「WRX STI」では既報の通り搭載されるエンジンはEJ20型。最高出力308馬力、最大トルク43.0kg-mなどの数値は先代モデルと同じながら、スロットル開度の変更などにより、スロットルレスポンスが向上。アクセルペダルを浅く踏んだときのエンジンの吹き上がりがより鋭敏なものになりました。

これは、シャシー性能が上がったことで実施できた改良点であり、逆にいうと、先代モデルのシャシー性能では少し危なくてスロットルレスポンスを穏やかに躾ける必要があったのです。初代レガシィと共にデビューしたEJ20は25年目を迎え、ボチボチ性能の向上も頭打ちかと思っておりましたが、実は先代モデルでは、まだシャシーよりもエンジンのほうが勝っていたのであります。

WRX STI 6MTのシフトフィールは、まるで「アルピナ B3」のような質感の高さ

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完熟のEJ20に組み合わされるのは、6MTとDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)のみ。6MTは先代のWRXSTIにも積まれたTY85系です。

この点に関しては、私が書いた前回のWRXの新車解説記事で「WRXSTIに積まれるのはTY85系ではなく、TY75系の大改良型」と予想しましたが、私マリオ高野の明らかな読み違いでありました。この場を借りて訂正とお詫びを申し上げます。(欧米で売られるSTIではないほうのWRXには、TY75系の6MTが積まれています)

件のTY85系6MTですが、クルマ全体の質感の向上に貢献すべく、シフト操作時のフィーリングが劇的に改善されました。メインロッドにディテントと呼ばれる戻り止めパーツを追加することにより、シフト操作の節度感が大幅に向上。特に各ギアからニュートラルに戻した際の手応えが秀逸で、ギアボックスそのものが新しくなったかのような手応えが得られるようになっております。

従来型の競技車両的で硬質なシフトフィールに、上質感が加わったのです。この「ディテント」と呼ばれるパーツを付けてシフトフィールを良くするアイデアは以前から温められていたもので、BRZのアイシン製の6MTでこれに少し近い工夫を凝らしたところ好結果が得られたこともあり、質感向上のためにコスト高になることを許された新型WRXSTIでようやく搭載することができたといいます。

新型 WRX STIは、こういった手に触れる部分の質感が劇的に向上しましたが、シフトフィールに関してはドイツの高額高性能車と比べても負けない域に達したと断言しましょう。アルピナB3のシフトフィールに似ていると思いました。

DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)については、後輪グリップの限界性能の向上に伴い制御を変更。

新型での「AUTO」は従来型の「AUTO-」に相当し、回答性重視の方向に修正され、ステアリングレスポンスの向上に貢献しております。スペック的には従来型のキャリーオーバーに見えるパワートレーンですが、細部はしっかりと煮詰められているのであります。

先代型と同様、プラス/マイナス/ロック状態など任意で変更が可能で、サイドブレーキを引くと瞬時にフリーとなる部分も同じ。ちなみにフロントデフにはヘリカルLSD、リアデフにはトルセンLSDを装備するところは先代モデルを踏襲しております。

油温がネックのWRX S4はオプションでオイルクーラーが発売されることを期待!

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WRX S4のパワートレーンはレヴォーグの2.0系と同じで、個人的に残念なのは峠道でのスポーツ走行時やサーキット走行時にミッション油温が上がりやすいという難点も同じであるということ。

エンジン回転を最高出力を発生する5,600rpm前後をキープするクレバーな走りをすれば油温が簡単に上がることはないのですが、それでもホットな走りを続けるとミッション保護制御がかかってしまいます。実用ワゴンのレヴォーグでは仕方がないと思いましたが、〝WRX〟を名乗るからには、他のDIT搭載のCVT車とは差別化してほしかったところです。

しかし、WRXS4・レヴォーグ両車ともミッションにはオイルクーラーを取り付けるための経路が設けられているので、そのうちオプションとして販売される可能性は高いとみています。

先日、鈴鹿サーキットで開催されたスーパーGTの現場にてサプライズ展示された「フォレスターtSコンセプト」のフロント部分をよくみると、ミッションオイルクーラー〝らしきもの〟が装着されていたので、おそらくWRXS4用も準備されているはずでしょう。

WRX S4でもサーキット走行を楽しみたいと思っている人は、ミッションの油温問題を理由に購入を躊躇する必要はないといえます。

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マリオ 高野
筆者マリオ 高野

1973年大阪生まれ。免許取得後にクルマの楽しさに目覚め、ヴィヴィオとインプレッサWRXを立て続けに新車で購入。弱冠ハタチでクルマローン地獄に陥るも、クルマへの愛情や関心は深まるばかりとなり、ホンダの新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、ダイハツ期間工(アンダーボディ組立て)などを経験。2001年に自動車雑誌の編集部員を目指し上京。新車情報誌やアメ車雑誌の編集部員を経てフリーライターとなる。編集プロダクション「フォッケウルフ」での階級は「二等兵」。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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