2009年下半期ベスト・バイ・カー/金子浩久(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
【輸入車編】トータルベストカー/ベントレー コンチネンタル スーパースポーツ
630馬力まで増強されたW12型エンジンを搭載したコンチネンタル「スーパースポーツ」は、シリーズ最強力版。
0-100キロ加速が3.9秒、最高速度は329km/h。恐ろしいほどの韋駄天ぶりだが、そこには荒々しさや粗暴さなどは一切存在せず、優しく、滑るように加速していく。
道路状況を選ばず、4つあるどのモードを選択しても、きわめて上質な乗り心地は洗練の極み。軽量化によって挙動がシャープになり、まるで二回りぐらい小さなクルマに乗っているようだ。
インテリアも素晴らしい。伝統的な“ベントレーの造形文法”に則りながら、とても今日的だ。敷居の高いクルマだが、それを案じても余りある魅力を備えている。
【輸入車編】ベストハンドリングカー/フォルクスワーゲン ゴルフGTI
6代目ゴルフGTIの最大のハイライトは、「XDS」(エレクトロニック・トランスバース・ディファレンシャルロック)の採用だろう。
XDSは、高速コーナーを抜ける時に、フロント・イン側ホイールに負荷が不足しているとGTIのコンピューターが判断し、ESPの油圧系統がそのホイールに制御を行い、瞬間的にブレーキを掛け、トラクションを確保する。
その効能は大きく、中高速コーナーでペースを上げて走ると、ニュートラルで精密なハンドリングを備えているところが体感できた。
パワフルな前輪駆動車は、中高速コーナーで加速を続けると外側にはらみがちだが、GTIは何者かに前から引っ張ってもらっているかのようにダッシュする。XDSは、GTIのドライビングを大きくアップデートさせている。
【輸入車編】ベストデザインカー/ジャガー XJ
これまで綿々と続いてきた歴代XJの面影を一切排して、まったく新しいコンセプトで打って出てきたXJには驚かされた。
歴代XJおよびジャガー各車の疑似クラシック調スタイルが、イギリスをココロの故郷と憧れるアメリカ人を気持ち良くさせ続け、アメリカで半数以上を販売していたという経営基盤があったが、その流れが先代のXJでパタッと止んでしまったから、さあタイヘン。中身は最新のアルミボディで、走りも素晴らしかったのに。
「その理由がどこにあると考えるのか」と、ジャガーの面々に訊ねても、彼らも「教えてもらいたいくらい」だそうだ。
そこで勝負に出たのがXF。そのXFを過激に進化させたのがXJ。
ひと足先にペブルビーチでXJを見たけれど、とても魅力的だった。モダンで、色っぽい。
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